実際、テレ朝は、第二次安倍政権以降、放送番組審議会委員長で安倍応援団だった幻冬舎の見城徹社長を通じて早河洋会長と安倍晋三首相の距離が近づいたことにより、政権批判が封じ込められ、政権に批判的なコメンテーターやスタッフが現場から追いやられてしまった。そうした結果、現状のような報道番組の凋落を生んだのだ。
テレ朝をめぐっては、「10年前のように権力を監視、チェックする機関に戻ってほしい」として、前川喜平・元文部科学次官や法政大学前総長の田中優子氏らが共同代表となり、市民グループ「テレビ輝け!市民ネットワーク」を結成。4月8日の会見によると、賛同者48人でテレ朝ホールディングスの株を計約4万株購入しており、同日にテレ朝HDに対して株主提案を実行。株主提案では「権力に対する忖度や迎合をしない」「過去10年の間にあからさまな圧力があれば第三者委員会にかけて調査する」「放送番組審議会の委員らの任期に上限を設ける」「前川氏を社外取締役に就ける」という4点を求めており、テレ朝HDは6月の株主総会で回答する予定だという(東京新聞4月8日付)。
今回の『報ステ』による大阪万博の報道を見れば、テレ朝は政権や与党のみならず、あらゆる権力に屈服したへっぴり腰の状態だということがはっきりしたと言える。この体質を市民の力で変えることができるのか。株主総会の行方にも注目だろう。
(編集部)
最終更新:2024.05.04 07:39