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“インチキ派閥解消”の陰で自民党と岸田政権が温存する裏金づくりのシステム! 企業団体の献金、パー券購入も不透明なまま

 このように、隅から隅まで腐り切った自民党に政治資金をめぐる政治改革など、実行できるはずがない。

 実際、岸田首相が本部長を務める自民党の「政治刷新本部」が公表した中間とりまとめでは、「派閥全廃」を明記せず、派閥が政策集団として存続することを容認。さらに「派閥事務所の閉鎖」「党役員・閣僚の派閥からの離脱」も明記されなかった。過去、何度も繰り返されてきたように、冷却期間を経て派閥が復活するのは目に見えているだろう。

 しかも重要なのは、政治資金収支報告書に虚偽記載があった場合に議員本人の刑事責任を問う「連座制」の適用や、企業・団体からの献金禁止、政治資金パーティの全面禁止が盛り込まれることがなかった点だ。

 いったい、これで何が「政治の信頼を取り戻す」だ。この自民党によるとりまとめでは、今後も議員個人が政治資金パーティを開催し、企業・団体にパー券を売ることができる。しかし、政治団体ではない企業・団体については、どれだけパー券を購入したのかを確認しようがない。口座振込ではなく現金でパー券を購入させてしまえば、それを政治資金収支報告書に記載せず裏金化することが可能になってしまう。万が一、そうした裏金が発覚しても、連座制を適用できなければ、またも議員は「秘書ガー」と言い張って無罪放免となるではないか。

 また、同じく問題なのが、自民党の中間とりまとめでは「政策活動費」にまったくメスを入れていない点だ。政治資金規正法では政治家個人への金銭の寄付を禁止しているが、例外として政党から政治家個人への寄付を認めている。さらに政治家個人の政治資金は使途を公開する義務がないため、「裏金の温床」と呼ばれてきた。事実、自民党は2022年の1年間だけで14億1630万円を政策活動費として支出し、うち計9億7150万円を茂木幹事長が受け取っているが、その使い道は明らかになっていない。

 この政策活動費は自民党に限らず日本共産党以外の野党も軒並み支出してきたものだが、改革案として立憲民主党や日本維新の会などは政策活動費の廃止を打ち出している。だが、自民党はこの期に及んでも、この事実上の裏金を手放そうとしないのだ。

 さらに、政権を握る自民党には「官房機密費」という裏金も存在する。

 官房機密費は官房長官の裁量で機動的に使える予算で、情報提供者への謝礼などに使う「調査情報対策費」、情報収集のための贈答品などに使う「活動関係費」、そして「政策推進費」の3つからなり、このうち「調査情報対策費」「活動関係費」は領収書が必要となる。しかし、「政策推進費」は官房長官が自ら出納管理をおこなうもので、具体的な使途が特定されていない段階で国の会計からの支出が完了となる。つまり、国庫から引き出される金でありながら、領収書は不要、支払い先を明かす必要もなし、官房長官の判断ひとつで使える「ヤミ金」「究極のブラックボックス」と言うべき状態となっているのだ。そして、昨年11月、馳浩・石川県知事が東京五輪招致活動に絡み、官房機密費で豪華アルバムを作成しIOC委員たちにばらまいたと発言して問題となったように、官房機密費は国家の利益のためなどではなく、自民党が政治的工作のために湯水のように使っているという疑惑が指摘されてきた。

 実際、第二次安倍政権下では菅義偉官房長官が86億8000万円超を「政策推進費」に充ててきたが、注目すべきは自民党総裁選時の支出だ。菅氏は2020年9月2日に総裁選への出馬を表明したが、その前日の9月1日に菅氏は官邸内にあった官房機密費1億3200万円余のうち9020万円を、自分が自由に使うことができる「政策推進費」に振り分けていた。さらに、菅氏が首相に指名された同月16日に官房機密費の引き継ぎがおこなわれたが、それまでに菅氏が使った金額は4820万円。つまり、たったの16日間で「ヤミ金」を約5000万円も使ったのである。これは明らかに、総裁選対策に使用されたとしか考えられない。

 裏金問題を受けて官房長官は安倍派の松野博一氏から岸田派の林芳正氏に交代したが、今年秋におこなわれる自民党総裁選では、これと同じように、岸田派が総裁選工作として官房機密費を湯水のように使う可能性も考えられるのだ。

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