「法的措置をとる。当たり前ですけど」とまで口にしていたのに、「やり方は考える」「今後検討する」と発言を後退させた藤田幹事長。「適法にやり取りしてきた」という自信があるのであれば、乗っ取り疑惑について個別具体的に反論できるはずなのに、この弱腰は、何かやましい事実があるとしか思えない。
だが、問題はこのあと。乗っ取り疑惑については、あからさまに弱腰な姿勢に一転させた藤田幹事長だが、今度は「週刊文春」が報じた馬場代表の「政治とカネ」問題を「デマ」だと断言し、徹底糾弾をはじめたのだ。
「週刊文春」は馬場代表の乗っ取り疑惑を報じた前週も、「《徹底取材》維新を暴く!“改革政党”のウソと暗部」と題した大特集を掲載。そのなかで〈馬場氏は税金が原資の政治資金を自身に還流させ、かつその使途がブラックボックス化している〉と指摘していた。
そのひとつが、維新が鬼の首をとったように騒ぎ立ててきた「文書通信交通滞在費」(現・調査研究広報滞在費)の問題だ。
維新は国会議員に毎月100万円が支給されている文通費について「国会の非常識」などと大キャンペーンを展開。しかし、キャンペーンの先頭に立っていた吉村洋文・大阪府知事自身が衆院議員を辞職した際、在職期間たった1日で満額100万円を受け取っていた事実が発覚。さらに、維新がHPで公開していた文通費の使途報告書を見ると、議員が自分が代表を務める政党支部や資金管理団体に寄付するという「セルフ領収書」が平然と横行していたことが判明。もちろん、金には色がついていないため、政党支部や資金管理団体に流れた文通費が何に使われたのかを確認することはできない。
無論、それは馬場氏も同じだ。「週刊文春」は、馬場氏が2016年から2021年の6年間、〈文通費の支出総額7200万円のうち約74%にあたる約5318万円を自らが代表を務める政党支部「衆議院大阪府第17選挙区支部」に寄付〉していたと指摘。これはすべて公開情報に基づいた事実だ。
ところが、この報道に対し、藤田幹事長は「使い古されたネタを悪意を持って書かれている」などと攻撃。「この機会やから、ちょっと言うておきますけど」「馬場代表は結構、訴訟もやって実際、勝訴してることもある」などと恫喝めいた前置きをした上で、猛然と反論をはじめたのだ。