国民への説明さえ「考えていない」、ようするに「必要ない」と明言する──。木で鼻をくくったような態度で国民を舐めているとしか言いようがないが、しかし、問題はまたしてもメディアの姿勢だ。
舐めた返答だったとはいえ、あくまで週刊誌ベースでしかなかった木原官房副長官のスキャンダルについて官房長官がコメントを発したことは、それだけでニュースにできる。実際、松野官房長官のこのコメントをもとに、時事通信は「木原官房副長官「不倫」報道、言及せず」、共同通信も「松野氏「個人のこと答えられず」 木原氏巡る報道」と題して報じた。
だが、ここまできても、相変わらずテレビや大手新聞はこの話題を取り上げず、沈黙を貫いているのだ。
いや、そればかりか、最初の文春報道から2日後の18日、木原官房副長官はフジテレビの『日曜報道 THE PRIME』に出演したのだが、そこでも不倫・隠し子疑惑の話題は触れずじまい。さらに、女性の音声報道が出た翌日の23日にも木原氏はCS-TBSの『国会トーク フロントライン』(TBS NEWS)に出演。無論、スキャンダルにかんする話題はまったく出なかった。
つまり、テレビは渦中の人物を出演させても何の追及もおこなわず、不倫・隠し子疑惑などないものとして扱っているのだ。逆にいえば、テレビが木原氏のスキャンダルを騒ぎ立てることはないと高を括っているからこそ、岸田官邸は木原官房副長官を平然とテレビに出演させ、マイナンバー対策など政権の政策について語らせているのである。
タレントの不倫には蜂の巣をつついたように大騒ぎしながら、岸田首相の右腕という公人中の公人のスキャンダルを報じない。それだけにとどまらず、張本人を出演させても何ひとつ追及せず、「なかったこと」にまでしてしまう大手メディア。メディアは政権と共犯関係にあると言わざるを得ないだろう。
(編集部)
最終更新:2023.06.25 06:36