いまさら説明するまでもないが、DHCテレビといえば、『虎ノ門ニュース』でのフェイク・ヘイト垂れ流しにとどまらず、沖縄ヘイトデマを放送した『ニュース女子』問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)が「重大な放送倫理違反」「名誉毀損の人権侵害」があったと指摘・認定。また、市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉・共同代表が起こした名誉毀損裁判では、一審・二審ともDHCテレビ側の主張を「事実無根」と断罪。今年6月の控訴審判決では「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗中傷を招きかねない構成」だったと踏み込み、東京高裁は一審を支持しDHCテレビに損害賠償550万円とウェブサイトへの謝罪文の掲載を命じている。
だが、こうしたデマ・差別認定後も、DHCテレビ側は反省するどころか、デマ・差別を上塗りするかのような姿勢をあらわに。BPOが「重大な放送倫理違反」だと意見書を出したあとも「基地反対派の言い分を聞く必要はない」「言論活動を言論の場ではなく一方的に『デマ』『ヘイト』と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧」「今後もこうした誹謗中傷に屈せず、日本の自由な言論空間を守る」などという見解を変えず、辛淑玉氏に敗訴した控訴審判決後も「不当判決だ」とし、番組の削除が求められなかったことから「プチ勝訴」と主張する始末。同時に上告の意向を表明していた。
このように、裁判所も認定したデマや差別を放送しながら、一貫して強気の態度で開き直ってきたDHCテレビ。ところが、親会社が買収された途端、看板番組が終了し、そのヘイトデマの正当性をがなり立てていた社長がいなくなって、会社自体の存続も危ぶまれる事態となっているのだ。
しかし、考えてみれば、当然だろう。そもそもDHCテレビというのは、代表者の吉田嘉明・DHC会長兼社長の存在あってこそのメディアであり、その内容も明らかに吉田会長の思想が反映されたものだった。
本サイトでは何度も取り上げてきたが、吉田会長は極右・歴史修正主義をがなりたてている企業経営者のひとりで、2016年には「DHC会長メッセージ」のなかで在日コリアンにかんするデマを書き立てた上で〈似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう〉などとヘイトスピーチを堂々と掲載した(詳しくはhttps://lite-ra.com/2017/01/post-2865.html)。
さらに、2020年12月には、同社の公式オンラインショップ上のコラムで、サプリ商品で競合しているサントリーについて〈サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです〉〈DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本企業です〉などとヘイトスピーチそのもののデマ文章を掲載。ネット上で大きな批判を浴び、「#差別企業DHCの商品は買いません」というハッシュタグがトレンド入りしたほどだった。