だが、さらに酷いのが、国際政治学者の三浦瑠麗氏だ。三浦氏は玉川氏のコメントについて〈発言のトーンによって、全ては消費者向けに仕組まれているのだというシニカルさを電波を通じて社会に植え付けてしまうことのほうが問題ではないか〉などと投稿したが、よくもまあこんなことがよく言えたものだ。
ご存知のとおり、三浦氏といえば2018年2月に『ワイドナショー』(フジテレビ)において、「実際に戦争がはじまったら、テロリストが、仮に金正恩さんが殺されても、スリーパー・セルと言われて、もう指導者が死んだってわかったら、もう一切外部との連絡を絶って都市で動きはじめる、スリーパー・セルっていうのが活動をはじめるって言われてるんです」「それがソウルでも東京でも、もちろん大阪でも。いま結構大阪ヤバイって言われていて」などと、なんの根拠もないデマを語った。また、番組もデマであると指摘することなく、スリーパー・セルの解説として「一般市民を装って潜伏している工作員やテロリスト」とのテロップを流した。当然、「北朝鮮のスリーパー・セル=在日朝鮮人」と想起させ、差別を助長するものだと放送直後から大きく批判された。
当時、本サイトでも詳しく解説したが(https://lite-ra.com/2018/02/post-3799.html)、この三浦氏の“スリーパー・セルでとくに大阪がやばい”発言はなんの根拠もない浅薄なデマだ。しかも、このとき巻き起こった批判に対し、三浦氏が反論で持ち出したのは、ネッシーが湖面から首を出した写真を初めて掲載して大きな話題になった、イギリスの右派系タブロイド紙「デイリー・メール」の記事。その上、三浦氏が掲げた「デイリー・メール」記事は同紙が取材したものですらなく、同紙よりもさらにお下劣な日本でいう実話誌のようなタブロイド紙「デイリー・スター」の記事を引用したものという始末だった(しかも内容は北朝鮮本国が工作員に向けてラジオ放送で暗号を送っているというだけのもので、テロを起こすとは書いていない)。
この「スリーパー・セル」発言について、いまのいままで三浦氏は謝罪はおろか訂正もしていないが、この発言は差別を助長させる危険を孕んだものであり、実際、発言から約4カ月後に大阪府北部で最大震度6弱を記録する地震が発生した際には〈みんな気をつけろよ スリーパーセルが動き出す〉〈新幹線の次は地震。スリーパーセルの仕業だな〉といったツイートが散見された。ようするに、三浦氏のデマ発言は、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチや差別・排外主義を助長させる思考を「電波を通じて社会に植え付けた」といえるものだったのだ。それでよく三浦氏は玉川氏を批判したものだ。