自民党HPより
参院選の東京選挙区で、自民党の目玉候補として出馬している元おニャン子クラブの生稲晃子氏。マスコミの序盤情勢調査などでは同じく自民党の朝日健太郎とともに優勢と伝えているが、NHKの候補者アンケートで「無回答」を連発したことによりネット上で批判を浴び、謝罪に追い込まれたばかり。だが、その謝罪にも疑義を呈する声があがり、「#生稲晃子に投票する意味が分からない」なるハッシュタグが拡散される事態となっている。
当然だろう。そもそも生稲氏は乳がんサバイバーとして「社会保障の充実」を掲げているが、NHKの候補者アンケートでは全26問中21問で「回答しない」を選択。社会保障にかんする質問にも答えない一方、「憲法改正の要否」や「9条改正し自衛隊明記の賛否」、「緊急事態条項創設で憲法改正の賛否」という質問には「改正する必要がある」「賛成」と回答していたのだ。
自身の政治課題として掲げている社会保障の質問には答えず、さらには「岸田政権の評価」についての質問にさえ無回答だというのに、改憲にかんする質問にだけはしっかり「賛成」と回答する──。これではたんなる極右議員を目指しているようにしか見えないが、この件にネット上で批判が巻き起こると、28日になって生稲氏はTwitter上に動画をアップ。「私とチーム間との情報共有が徹底されておらず、このようなことを招いてしまいました」と謝罪し、新たにアンケートに対して回答をおこなったのだ。
まったくこんな話を誰が信じるだろう。生稲陣営も「事務局責任者の処理ミス」と説明しているが、ならばどうして改憲関連の質問にはしっかり回答していたのか。実際、2016年の参院選に自民党から全国比例で立候補し当選した元SPEEDの今井絵理子氏も、朝日新聞と毎日新聞の候補者アンケートですべての質問に「無回答」を貫いて批判を浴びていた。ようするに、自民党は今井氏の「元SPEED」という知名度だけを利用し、政治家として目指すビジョンは一切示させようとはしなかったのだ。
では、なぜ今回、生稲氏の場合には「無回答」を貫かず、改憲関連の質問にははっきりと回答をおこなったのか。それは、生稲氏が「安倍晋三の肝いり」候補だからにほかならない。