ロシアのクリミア侵略に対して厳しく制裁を加えるどころか、安倍氏と世耕氏は西側の制裁で打撃を受けたプーチンに近い国営企業を助けようとさえしていた──。この事実は国際社会のみならず国内でももっと非難されるべき問題だが、それだけではなく、世耕氏は今回、近大の卒業式を安倍元首相のPRの場に政治利用したのと同じように、2018年にも近大主催のシンポジウムにロシアのゴルジェツ副首相やオレシュキン経済発展大臣を招待。ようするに、ロシアのクリミア侵略もシリア介入もスルーし、ベッタリの関係をつづけてきたのだ。
しかも、驚くべきことに、ロシアのウクライナ侵略後も、安倍元首相と世耕氏に反省の色はまったくない。
世耕氏は今月6日、NHK『日曜討論』で、「(ロシアへの)経済制裁をてこにロシアに行動を変えさせるということが何よりも重要だ」としつつも、安倍元首相が進めたロシアとの経済協力プランのひとつである日本の官民出資会社が権益を持つサハリン沖の資源開発にかんして、「ここへの依存度が高い(国内の)ガス会社があり、(撤退すれば)供給に支障が出る可能性がある。現実的に考えていくべきだ」「仮に日本が撤退すると(エネルギーを)のどから手が出るほどほしい中国などに安く取られてしまう」(時事通信6日付)などと発言。このサハリン沖の資源開発「サハリン1」「サハリン2」からは石油大手の米・エクソンモービルや英・シェルが撤退を発表している一方、いまだに日本側は撤退しようとしていないが、じつは「サハリン1」には、例のロスネフチが20%出資しているのだ。
また、安倍元首相にいたっては、「プーチンとしては(NATOに対する)不信感のなかで、領土的野心ではなく、ロシアの防衛、安全の確保の観点から行動を起こしているのだろう」などと擁護してみせた(2月27日放送・フジテレビ『日曜報道 THE PRIME』)。
明日23日にはウクライナのゼレンスキー大統領が生中継で国会演説をおこなう予定だが、そこでは“プーチンの犬”と化してきた安倍元首相の対ロシア外交を批判するのではないかという声もあがっている。しかし、ゼレンスキー大統領が触れなかったとしても、ウクライナ侵略戦争へとつながったクリミア危機における安倍元首相と世耕氏の振る舞いについて、国内においてしっかり検証・追及がおこなわれるべきだ。
(編集部)
最終更新:2022.03.23 12:07