たんにカジノ事業者のために約800億円も公金を出すことを、「市民の財産だから課題解決するのは当然」と主張する──。まったくふざけているとしか言いようがないが、さらに大阪府立大学の住友陽文教授が〈800億円もの公金が大阪市の負担ともなれば、それは市民共有の負担〉など今回の問題点を指摘するツイートをすると、松井市長はすぐさま噛みつき、こう抗弁したのだ。
〈IRの経済効果は年、1兆2000億円、カジノの負担金は大阪市だけでも毎年550億円、借地料が毎年25億円、これらが市民へのリターンです。これでも市民負担ですか?貴方はメディアの人間では無く、大学教授なんだから、しっかり算盤を弾いて下さい。〉
だが、この松井市長のツイートに対し、新たな爆弾が投下されることになる。NHK『日曜討論』で吉村洋文・大阪府知事のコロナ失策を見事に指摘したれいわ新選組の大石あきこ衆院議員が、こんなツイートをおこなったのだ。
〈待て待て待て待て 松井市長。「しっかりソロバンはじい」たろと思って、IR(カジノ)の経済効果の元データをIR推進局に情報公開請求したら、こんな墨塗りで出てきたけど。どないせえっちゅうねん?〉
そして、このツイートに貼り付けられていたのは、金額がすべて黒塗りになった紙資料。つまり、松井市長は「IRの経済効果は年1兆2000億円!」と豪語し、「しっかり算盤を弾いて下さい」などと上から目線で言っていたが、算盤を弾こうにも、経済効果の元データ資料は黒塗りで弾けない状態だというのだ。
ギャンブル依存症という社会問題を抱えたカジノを成長戦略に組み込むことの問題もさることながら、その経済効果については以前から過大評価ではないかという指摘があり、さらには新型コロナの発生によって世界的パンデミックという大きな懸念材料まで出てきている。にもかかわらず、「カジノで儲けて市民にリターン」と豪語し、その一方で肝心の部分は情報公開してしないのだ。こんな姿勢で約800億円の市負担を納得しろと言われても、そんなことはどだい無理な話だろう。