いずれにしても、何の関係もない企業の講演会でまで、わざわざ名前を持ち出して攻撃するほど、橋下氏は大石議員という存在に苛立っているようだ。
いや、大石議員だけではない。橋下氏はこの文通費問題で大石議員から鋭い指摘をされる前から、れいわ新選組の山本太郎代表のことを蛇蝎のごとく嫌ってきた。
総選挙当日の特番でも、山本代表に対して、インタビュー相手なのに話すスキを与えず、所得税率やインボイス制度をめぐって事実とは異なるデタラメを主張しながら、山本氏に対して「詐欺師」と名誉毀損まがいの攻撃を繰り広げていた(山本氏が橋下氏なら名誉毀損で訴えていたかもしれない)。
これはおそらく、それだけ橋下氏が「れいわ」や山本太郎代表のことを「維新にとって脅威」と考えているからではないか。
周知のように、公共サービスを削って市場原理主義的な社会をめざす維新にとって、所得の再分配や弱者への社会保障充実を謳う「れいわ」は、政策的に真逆の存在だ。
ところが、国民に対するポピュリズム的なアプローチは維新と非常に似ていて、橋下氏や吉村知事ら維新系の政治家に共通する「攻撃に負けない強度、図太さ」をもっている。
実際、橋下氏にこれだけ攻撃されても、大石議員はまったく負けていない。
たとえば、前述の『めざまし8』出演後も大石議員は、橋下氏が自身の「制度知らない、しっかり勉強を」という発言を報じた記事をリツイートしたうえで、大石議員の当確が出たのが11月1日未明だったことをあげつらった橋下氏に対し、〈もうウケるwww 橋下徹、選挙制度しっかりべんきょせえ!〉と逆に笑い飛ばした。さらには、〈橋下徹が私に粘着するせいで、すごく注目浴びてしまった。もう、粘着するなよ!絶対に粘着するなよ!〉と、ダチョウ倶楽部風にツイートしてみたり、橋下氏のパニックぶりを完全にネタにしている。
こうした強度は山本氏も同様で、その姿勢に惚れ込んで「維新を食い止められるのは、れいわだけ」という無党派層も徐々に増えている。
実際、昨年の大阪都構想をめぐる住民投票で、維新が進めていた都構想が否決されたが、この結果は、山本氏、大石氏が中心となって都構想反対の街宣を盛んに行なっていたことが大きく影響したといわれた。
そして、維新の一人勝ち、リベラル政党が全て退潮したといわれた今回の衆院選でも、れいわは議席を増やした。
大衆の空気を読むのが天才的にうまいといわれる橋下氏のことだから「放置しておいたら、れいわは維新を脅かす存在になる」と察知し、「いまのうちに潰しておけ」と必死になっているのではないだろうか。わずか5議席の政党にあんなヒステリックな対応をしているのも、その危機感の表れだとすれば、たしかに納得がいく。
(編集部)
最終更新:2021.11.29 12:14