しかも、このとんだ金食い虫になっている「アベノマスク」の保管料をめぐっては、その金額を疑問視する意見も出ている。どの地域の倉庫に、また、どんな大きさの箱に布マスクが収められているのか知らないが、月7500万円もかかるものなのか──。こうした疑問から「またしても中抜きがおこなわれているのではないか」という声がネット上ではあがっているのだ。
こうした疑義が生じるのは当然だろう。周知のとおり、コロナ支援策として実施された「持続化給付金」事業では、経産省は電通のダミー法人と思われる「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に769億円で業務委託し、同協議会は749億円で電通に再委託、そこから電通は電通ライブや電通テックといった子会社5社へ645億円で外注していたことが発覚。さらに、東京五輪・パラリンピックでも、やはり電通やパソナのあくどい中抜きが浮き彫りとなったからだ。
コロナ禍でも繰り広げられた政権に近い大企業による中抜き。だが、安倍・菅政権によるコロナ対策の問題は、もちろん税金の無駄遣いだけではなかった。いまこそ思い出すべきは、安倍・菅政権によるコロナ対応は「棄民」政策にほかならないものだった、ということだ。
それは、この間、安倍・菅政権の閣僚たちが吐いてきた暴言を見ても一目瞭然だ。たとえば、厚労省が昨年2月に示した「37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」という「相談・受診の目安」によって多くの犠牲者が出たが、厚労相だった加藤勝信(岡山5区)は、“目安なのに基準のように扱われた”として「我々から見れば誤解」などと責任を国民になすりつけてみせた。
また、コロナ担当で経済再生相だった西村康稔(兵庫9区)は今年7月、酒類提供の停止に応じない飲食店に対して融資をおこなう金融機関から「働きかけ」を求めると宣言。この発言には反発が巻き起こり翌日には撤回に追い込まれたが、資金繰りが厳しい飲食店に対して融資する銀行などの金融機関を使って恫喝をかけさせようとは、完全にヤクザの発想だ。
さらに、最近も「温暖化のおかげで北海道の米がうまくなった」と暴言を吐いたばかりの麻生太郎(福岡8区)にいたっては、10万円の特別定額給付金について昨年10月に「お金に困っている方の数は少ない」「個人の貯金に回っただけ」などと言い、厳しい生活を強いられている国民を無視した上に、今年3月には「(マスクについて)いつまでやるの?これ」「あんたら新聞記者だから、それくらい知ってんだろ」と報道陣に詰め寄ったり、今年9月にもコロナについて「まがりなりにも収束」と発言するなど、数々の辞任級の暴言を飛ばしつづけてきた。