安倍元首相は、同じ21日に埼玉の立憲・枝野幸男代表の選挙区でも応援演説に立ち、「立憲・共産なら悪夢の時代に逆戻り」などと発言したが、これにも批判の声が上がっている。
「悪夢の時代」は安倍元首相のお得意の立憲攻撃だが、「日刊ゲンダイ」によると、今回、聴衆受けはいまひとつ。ツイッターでも「お前が言うか」という声が数多く上がった。
たしかに、「悪夢」というのは、安倍元首相の民主主義破壊やコロナ対策のことだろう。専門家があれだけ検査体制の拡大や医療体制の整備を主張していたのに、やったことといえば、何の役にも立たないアベノマスクを配布しただけ。逆に、GoToキャンペーンを強行したり、五輪延期を自分の野心のために2年でなく1年後にごり押しして、感染拡大の新たな原因を作るような政策を次々打ち出した。
日本は、コロナで東アジア最多の死者を出したが、原因のかなりの部分は安倍政権時代の失策にあるといっていい。しかも、安倍元首相は感染拡大で収拾がつかなくなると、仮病を使ってとっとと政権を放り出してしまったのである。
そのことをすべて棚上げして、民主党政権のことを「悪夢の時代」などと言い募ると言うのは、厚顔無恥にもほどがあるだろう。
しかし、当の安倍元首相は、自らの失態や仮病のことなどすっかり忘れたようで、政治的復権への野望をむき出しにしている。それどころか、首相の座から離れたのをいいことに、その独裁的手法や右翼性をエスカレートさせている。
今回の衆院選でも、自分の元政策秘書で、森友や「桜を見る会」前夜祭の問題でもみ消しに動いていた初村竜一郎氏を自民党の公認候補にごり押し。さらに、性的マイノリティについて「生産性がない」と攻撃した“性差別主義者”杉田水脈氏への寵愛も隠さなくなった。弟の岸信夫防衛相を使って、杉田候補を比例名簿上位にするよう圧力をかけ、10月20日には地元・山口で開いた自分の出陣式に杉田候補を招き、夫人の昭恵氏も含めたスリーショットを撮らせるサービスぶりだった。
あげくは、冒頭で紹介した「立憲が政権を握れば、日米同盟終わる」のデマ攻撃である。こんな政治家をいつまでも野放しにしていたら、それこそ日本は「悪夢の時代」からいつまでたっても抜け出せないだろう。