萩生田光一の後任で文科相に抜擢された末松信介もかなりの極右議員と言っていい。
末松氏は、岸田内閣で続投となった岸信夫防衛相らとともに「日本会議国会議員懇談会」の副幹事長に名を連ね(2015年6月時点)、自身のHPでも〈日本の歴史観・国家観を大切にし「世界の中の日本」のあるべき姿を明確にする政治〉を謳い、〈教育基本法を改正し、教師、子ども、親が信頼で結ばれ、公徳心と公共の精神、国を誇りに思う心が自然と身に付く教育の実現をめざす〉と記述している。
それでなくても、菅政権は今年4月に「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」、戦時中の朝鮮半島出身者の徴用も「強制連行」と表現することを「適切ではない」とする答弁書を閣議決定し、これにより教科書会社5社が記述の変更を訂正申請して萩生田光一・前文科相が承認するという、歴史修正主義に基づいた用語・記述への政府介入が問題となっている最中。そんななかで教育基本法の改正と愛国教育を打ち出す末松氏が文科相に抜擢された事実は、安倍元首相が推進した「教育改悪」路線の推進であることは疑いようもないだろう。
さらに、法務大臣となった古川禎久氏も危険人物だ。
古川氏は総裁選が終わるや否や石破派を退会し、初入閣を果たしたことで注目を集めているが、もともとは安倍元首相に近い議員。現に、安倍氏の肝いりで2005年に設立された「平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」では事務局長を務めたほか、2007年に櫻井よしこ氏やすぎやまこういち氏らが米紙ワシントン・ポストに出した従軍慰安婦の強制性を否定する意見広告「THE FACTS」にも賛同者として名を連ねた。また、古川氏は安倍氏が下野時代に排外主義や国家主義を押し出した発言を繰り返した極右議員の集合体「創生「日本」」で副幹事長を務めたことも。
もちろん、安倍氏が猛攻撃した外国人参政権や人権擁護法案にも、古川氏は反対派の急先鋒となってきた。本日5日おこなわれた法相就任後初となる会見では、名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの監視カメラ映像の開示について「公開は適当でない」と、さっそく人権意識の欠如ぶりを見せつけたが、この男のもとで「反人権」の入管行政が見直されることはないだろう。