いずれにしても、北村氏はこのように内調を安倍政権や応援団を利する謀略を主任務とする「安倍様の私的諜報機関」に変えた張本人であり、野党や官僚のみならず政権を批判する市民団体をも「政敵」とみなせば、御用新聞だけではなく週刊誌まで使って謀略スキャンダルを仕掛けるという、杉田氏以上の「狂犬」なのである。
しかも、重要なのは、北村氏は岸田新首相ではなく安倍前首相のための側用人である、ということ。前述してきたような公安警察的な監視の目は岸田新首相にも向けられ、少しでも安倍前首相への裏切りになりかねない内通や謀反の疑いがないか、徹底して安倍前首相に報告があげられることになるだろう。つまり、北村氏にとって岸田新首相は守る対象ではなく、監視対象なのだ。
その上、岸田官邸にはもうひとり、安倍前首相から送り込まれるお目付役がいる。安倍政権下で今井氏が務めてきた政務担当の首相秘書官には、現在、嶋田隆・元経済産業事務次官の名前が挙がっているが、じつは嶋田氏と今井氏は同期入省組で昵懇の間柄にある人物。ようするに、今井氏に代わって岸田氏を操るための「今井氏の影武者」なのだ。
北村氏と今井氏の暗躍で、謀略によって権力維持が図られるという地獄のような安倍政権の8年間のつづきが、ついに再びはじまる──。岸田政権は紛れもなく、正統の「第3次安倍政権」なのである。
(田部祥太)
最終更新:2021.10.02 10:49