高市早苗公式サイトより
昨日18日に行われた日本記者クラブ主催・自民党総裁選討論会で高市早苗支持のネトウヨが「意図的な高市外しだ」と噴き上がっている。対中外交や安全保障についての質問を、河野太郎氏と岸田文雄氏にだけおこない、高市氏に答える機会を与えなかったためらしい。
たしかに、代表質問者が河野氏にばかりフォーカスし、高市氏を泡沫候補扱いしていた面は否めないが、しかし、仮に高市氏が質問に答えたとしても、ネトウヨ連中が喜ぶような勇ましい発言が飛び出したかどうかはわからない。
というのも、最近の高市氏は「右翼」扱いされることを嫌がり、右翼色を隠そうとしているからだ。
たとえば、9月12日、『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)に出演した際も高市氏はこんな発言をしていた。
「なんとなく地上波(テレビ放送)を見ていると、私は右翼扱いをされている気がしてしかたがない。こんなに優しく生活者に寄り添った政策をいっぱい構築しているのに、なぜなのだろうと思う」
ナチス礼賛本に推薦文を書き、ネオナチ団体の代表と仲良くツーショット写真を撮り、国家によるテレビ局への電波停止や、「さもしい顔して貰えるものは貰おう。そんな国民ばかりでは日本国は滅びてしまいます」といった弱者切り捨てまで口にしておいて、いまさら「なぜ右翼扱いされるのか」とは笑わせる。
しかし、高市氏がここにきて、明らかに自らの「右翼性」を隠そうとし始めている。出馬表明会見前は、『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)や「月刊Hanada」(飛鳥新社)で威勢のいいことを言っていた高市氏だが、日が経つにつれて、発言が明らかに抑制的になっているのだ。
一連のテレビ出演でも、女系天皇の否定、敵基地攻撃能力の保有などは相変わらず主張しているが、以前、あれほど声高に叫んでいた夫婦別姓反対についてはあまり積極的に主張しなくなり、派手にぶち上げた「自衛隊を国防軍に」はほとんど口にしなくなった。
昨日の記者クラブ主催の討論会でも同様で、「危機管理投資に大胆な国費の投入をおこなう」とは発言したが、具体的に語ったのは防災とサイバーセキュリティで、防衛予算の拡大についてははっきり口にしなかった。
この変化について、政治評論家が解説する。
「高市氏が出馬したのは、河野氏の総裁就任を阻み、右派層を固めたい安倍晋三・前首相の意向を汲んだもので、本人も本気で勝とうとは思ってなかった。それで、右派向けに景気のいい発言を連発していたんですが、途中から支持が予想以上に上がってきて、本人も陣営もその気になってきた。しかし、共同通信などの調査では河野太郎にダブルスコアをつけられているため、勝つためにはもっと支持の広がりが必要。それで“右翼のイメージ”払拭に動き始めたということだろう。高市自身も言い回しやディテールでかなりソフトにすることを意識しているようだ」