しかし、この問題はたんに八代弁護士のネトウヨ性があらわになったというだけの話ではない。そもそも「共産党は暴力革命路線を捨ててない」というデマは、政権や右派、保守勢力が積極的に流してきたものだ。
今回も八代発言に便乗して、維新の政治家連中がこのデマを積極的に拡散している。たとえば、“維新の暴言男”足立康史・衆院議員はこんなツイートを連投した。
〈逆にTBSが謝罪とか訂正とかしたら、大変な問題になる。→「共産党は暴力的な革命を廃止していない」〉
〈共産党の力を借りて世の中を変えようと考えている全ての野党は、今すぐ博物館へ。〉
〈暴力革命の問題は、単なる放送電波の問題としてでなく、国会でしっかり議論しなければなりません。〉
また、音喜多駿・参院議員も〈共産党は公安も認定する通り暴力革命の路線を捨てておらず、TBS番組でコメンテーターの方が言いたかったことは正しいです。ただ、党綱領には書いてないので、その点が不正確でまずかった〉と投稿。
さらには、松井一郎・大阪市長も、高橋洋一・元内閣官房参与の〈要綱で暴力的革命と発言したから間違いなので、破防法で調査団体であり暴力革命の方針に変更はないといえばよかった〉〈月曜日の放送で謝罪というけど、折角なら、6月の閣議決定などを含めて解説してもらえればいいけど。「共産党は要綱で暴力革命と発言しましたが誤りです。正しくは破防法対象団体で、暴力革命の方針に変わりないと政府は認識しているとの閣議決定があります」と放送したら凄い〉などというツイートを連続リツイートした。
しかし、これらも全部、デマである。連中が共産党について、暴力革命路線を捨てていないという根拠は、破壊活動防止団体の対象になっているということなのだが、それこそこの破防法の運用自体がでたらめ極まりないものなのだ。
破防法とは、「暴力主義的破壊活動」をおこなった団体に対する規制措置などを定めた法律で、たしかに共産党をずっと調査対象にしてきた。同法とセットで設置された破防法適用のための調査機関である公安調査庁(公安庁)のレポート「内外情勢の回顧と展望」の2021年1月版でも、イスラム国やアルカイダをはじめ、朝鮮総連、オウム真理教、中核や革マル等の新左翼セクト、一部右翼団体などとともに、日本共産党について述べられている。
しかし、この破防法はもともと東西冷戦下の1952年に共産党を排除する政治的な目的でつくられた法律で、破防法も公安庁も、自民党や警察関係者にすら「無用の長物」「予算の無駄遣い」と冷笑されてきた。