無論、こうした松井市長の態度はいまにはじまった話ではない。実際、最近の松井市長といえば、日本維新の会が大阪市大規模接種センターに飲み物を寄付していたことを「AERA.dot」が報じ、公職選挙法違反ではないのかと指摘された件について、「去年から医療用マスクやガウンなどを日本維新の会国会議員団の『身を切る改革』で生み出した財源で寄付してもらっている。まったく問題ない」などと強弁。さらには「どうせまた共産党あたりがどうのこうの言うんでしょうけど、立憲とかも言うかな」「(どうのこうの言うなら)自分たちもやればいいじゃない」などと居直り、公選法に抵触しかねない問題を正当化する始末。
さらに、東京五輪開催中の7月30日には、「感染者がいなければオリンピックもやっている。一生の思い出に残る行事は実施したい」と言い、8月に予定されている市立中学4校の修学旅行を実施することを表明。「コロナ感染が始まってから子どもたちの重症者で命を失くしたという人は1人もいない」などと述べ、すでに子どもの感染が拡大しつつあったというのに、菅義偉首相よろしくデルタ株を過小評価したのだ。
また、第5波がはじまったと指摘されていた最中の7月はじめには、東京都議会議員選挙の応援のため、吉村洋文・大阪府知事とともに大阪を離れて来京。府民・市民に対して「不要不急の外出自粛」「不要不急の都道府県間移動、特に緊急事態措置区域との往来は、極力控える」と呼びかけておきながら、である。
このように、感染防止対策の強化をなおざりにする一方、松井市長がやってきたことといえば、吉村知事と一緒になって党勢拡大に精力を傾けるか、維新のコロナ対策などを批判的に報じてきた毎日放送(MBS)や毎日新聞を攻撃することぐらい。そして、いま「保健所機能も医療提供体制も第4波から改善されていない」という指摘が出ているように、第4波の惨劇をまたも繰り返そうとしているのである。
市長と知事がこの体たらくで、大阪はこの第5波で一体どうなってしまうのか。ともかく、いまは万博の話などしている場合ではないことだけはたしかだ。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.08.19 11:01