その上、このモデルナ製ワクチンの“政治利用”は、前述したように供給不足によって予約停止が相次いでいるファイザー製ワクチンによる自治体接種にも影響を与えている。自治体接種では2回目接種が遅れる恐れまで出てきているが、このファイザー製ワクチンの供給不足問題についても、河野大臣は「今後は加速というよりはスピードをいかに維持するか」などと言い、「6週間以上」の在庫を抱える市区町村には供給を1割減らすという方針を打ち出した。
あたかも自治体が在庫を溜め込んでいるような言い方だが、何を言うか。すでに首都圏の1都3県では〈すでに予約されている分を除くと「在庫」のワクチンは一切ない〉(日本テレビ2日付)という状態なのだ。実際、東京都世田谷区の保坂展人区長は、本日、〈政府から見て「余剰在庫」に見えても自治体が住民に約束した予約済〉とし、こんな反論をおこなっている。
〈「6週間以上の在庫を抱える自治体からは、供給量の1割カットをする」と河野大臣は突然言い出した。世田谷区内の集団接種・個別接種(診療所等)は、すでに6週間先までほとんど埋まり、その先の予約を受け付けている状態だ。そもそも「接種券を全員に送れ」と方針転換したのは国だ。〉
〈世田谷区は「予約枠」を確保してから接種券を送るという方式で、接種券を受け取れば希望する人全員が接種出来る方式で6月まで接種回数を増やしてきたが、全世代に送れという国の指示で、来週までに16歳までの区民に届く。予約枠を増やさなければいけない時に、供給不足で予約枠減少を迫られる。〉
本来は自治体の声をよく聞き、問題を調整・解決しながら要望に応えるといった密な連携が図られるべきなのに、一方的に“お上の指示に従え”と言わんばかりに振る舞い、いざ足りなくなったら自治体に責任転嫁する。繰り返すが、河野太郎という人の声を聞かないこの男をワクチン配分の責任者にしたことが、いまの目も当てられない事態を招いているのである。
そしてこれは、河野大臣をワクチン担当に抜擢した菅義偉首相の責任であり、モデルナ製ワクチンの供給6割減という情報を国民に公開せず隠蔽し、党利党略で職域接種を煽りに煽ったことの“主犯”であることは疑いようもない。
「改ざん・捏造・隠蔽」を繰り返してきた菅首相を筆頭とするデタラメ政権に、国民の命と健康に直結する問題を任せることの危険さ。このモデルナ製ワクチンをめぐる情報隠蔽と政治利用、そしてファイザー製ワクチンの供給不足は、起こるべくして起こった問題なのだ。
(編集部)
最終更新:2021.07.07 07:01