そもそも河野氏は、ワクチン担当相に抜擢された際から、政府から漏れたワクチン接種スケジュールの報道を「デタラメ」呼ばわりしてメディア攻撃をおこなったかと思えば、ワクチン供給不足が自治体から指摘されていた最中の6月27日にも英語で発信している自身のTwitterアカウントで「日本のワクチン接種。悪くないでしょう?」などと発信し、世界中からツッコミを受けるという醜態を晒したばかり。「ブロック太郎」という異名からもはっきりとしているが、自分にとって不都合な事実や批判はシャットアウトして高慢ちきに振る舞ってきたこの男に、高い透明性が求められるワクチン配分計画を任せたこと自体が大間違いだったのである。
しかも、足りなくなるのは目に見えているのに職域接種をスタートさせたのは、たんなる「杜撰な計画」ではなく「確信犯」だった可能性が高い。いまのいままで6月末までにモデルナ製ワクチンが当初予定していた4000万回分の3分の1にすぎない1370万回分しか入ってこないことを公開せず、職域接種まで始めた理由。それは明らかに「都議選」と「東京五輪」の影響を見越してのことだ。
実際、河野大臣は6月21日に職域接種会場で「VACCINATED」(接種済み)と書かれたマスクを付けて自身も接種を受けたり、申請を一時ストップしたあとであるにもかかわらず吉本興業やKADOKAWAグループの職域接種を視察し、接種が進んでいることを大々的にPR。また、都議選では自民党候補者の街頭応援演説に立ち、「ワクチン接種、大変なスピードで打っていただいております」などとアピールに余念がなかった。
また、職域接種のスタートは東京五輪関係者への優先接種に対する「不公平感」を有耶無耶にさせた。本来、重症・感染リスクの高い人やエッセンシャルワーカーへの段階的な接種を徹底させるべきなのに、大企業や大学での接種を解禁させることでその優先すべき順番というルールをぶち壊し、東京五輪関係者への優先接種という「特例扱い」をごまかしたのだ。
そして、都議選と東京五輪強行開催が決定的となったことを受け、しれっと河野大臣は“じつは1370万回分しかありませんでした”“4月末には知っていた”と言い出したのである。完全に国民を欺いた背信行為ではないか。