このように、党勢拡大と引き換えに府民・市民の命を軽視してきた吉村知事と松井市長。しかも、維新が悪質なのは、大阪のコロナ対策に批判的な報道が出ると、恫喝まがいの主張を繰り広げては虚報であるかのように印象づけてきたことだ。
だが、そうした維新の嘘は、ここにきてまたひとつ明らかになっている。
5月11・12日に在阪テレビ局の毎日放送(MBS)の取材に対し、大阪市の保健師が同市の疫学調査の人手不足や過重労働、経験不足の人間が投入されていることなどを告発。合わせて人員体制図をもとに、疫学調査を担当する常勤職員が42人から31人に減らされたと報道した。
しかし、松井市長は同月12日の新型コロナワクチン接種推進本部会議後の質疑応答でこの問題を質問した記者に対して、指差しながら「それ事実やな? 減ってるっていうのは。MBS」「お前、裏とってきたんやな?」と完全な輩口調で凄んでみせた。さらに、翌13日の定例会見では、人員表がそうなっていても実際には31人以外にも他の部署から応援を20人追加されていたと言い張り、「なんでそんな不安をあおるようなことばっかり、MBS、何が面白いの?」「表面的な部分しかとらえず、公共の電波を使って不安をあおっている。これについては会社からの回答を求めます。現場の対応とまったく違うことを君らは放送している」と露骨に恫喝をかけた。
だが、松井市長の“体制は十分だった”という主張は嘘だった。というのも、大阪市保健所のトップである吉田英樹所長がMBSの取材に応じ、こう語ったのだ。
「患者の数と(保健所の)体制の間でミスマッチがあって、一時的に厳しい時期があったのは否めないと思います」
「応援とか派遣だけではできない、本来のスタッフがやる仕事があります。(クラスター調査など)継続的に何日間か続けて対応しないといけないこともございます。そうなると、ずっと毎日来られる職員とそうでない職員との間で役割分担を変えるようなこともございます。これまで通りでいいとは思っていませんので、より良い体制づくりにつなげたいと考えています」
つまり、“応援は来ても入れ替わる職員がいるため任せられる仕事は限られていた”と吉田所長は語り、体制が十分ではなかったことを認めたのである。
松井市長はMBSの記者に対して「表面的な部分しかとらえず、公共の電波を使って不安をあおっている」などと反論していたが、実態とは違う表面的な部分しかとらえず、事実と反する主張をおこなっていたのは松井市長のほうだったのだ。しかも、「現場の対応とまったく違うことを君らは放送している」などとフェイクニュースであるかのように決めつけながら、だ。
恫喝をかけられても怯むことなく取材をつづけ、保健所の体制が不十分であったことを明らかにしたMBSはじつに真っ当な報道をおこなったと評価すべきだが、こうした当然の報道さえ大阪ではこのような恫喝に晒され、それによって当たり前におこなわれるべき吉村知事や松井市長のコロナ対策への批判が抑え込まれるという異常な状態に陥っている。そして、そうやってメディアを支配できていると図に乗っているからこそ、吉村知事も松井市長も、府民・市民には自粛を要求している不要不急の移動を平気でやろうとしているのである。
多数の死者を出した第4波の反省など微塵もなく、相変わらず党勢拡大しか頭にない吉村知事と松井市長。大阪府民・市民がこの男たちに徹底的に見下され、虫けら同然に扱われているという事実を、在阪メディアはしっかり伝えるべきだろう。
(編集部)
最終更新:2021.07.01 09:23