左・竹中平蔵公式ウエブサイト/右・首相官邸HP
まったくグロテスクとしか言いようがない。デルタ株などの変異株による感染拡大が明確になりながら観客を入れての東京五輪開催をゴリ押しして棄民姿勢をあらわにしている菅義偉首相だが、そんな最中の27日、よりにもよって、あの竹中平蔵氏と面談をおこなったからだ。
報道によると、菅首相と竹中氏は「経済の動向などをめぐって意見を交わした」といい、竹中氏は面談後、記者団に対して「菅総理大臣は『ワクチン接種をこのまましっかりと続けて新型コロナウイルスを収束させ、経済をうまく回していきたい』と話していた」(NHKニュース27日付)などと語ったが、タイミングを考えれば東京五輪が話題にあがらないわけがない。
竹中氏といえば、政府対策分科会の尾身茂会長が国会で「いまのパンデミックの状況で五輪を開催するというのは、普通はない」と発言した際も、6月6日放送の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で「明らかに越権」と批判。さらには「人流抑制の効果はエビデンスがない」「日本の国内事情で世界に『やめます』というのはあってはいけない」などと五輪開催を主張し、挙げ句、「世論は間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違ってますから」などと反対世論にまでケチをつけたことも記憶に新しい。
竹中氏は菅首相のブレーンとして知られる人物だが、ようするに菅首相は、自分と同じように感染防止対策を軽視して東京五輪開催強行論を唱える竹中氏による鼓舞激励を得たくて、こんなタイミングで面談をおこなったのだろう。
だが、竹中氏はたんなる経済学者のブレーンなどではない。菅首相と竹中氏の面談を報じたNHKや毎日新聞などは竹中氏の肩書を「慶應義塾大学名誉教授」としていたが、竹中氏は「パソナグループ取締役会長」だ。
そして、本サイトでも繰り返し指摘してきたように、パソナグループは東京五輪の「オフィシャルサポーター」として大会スタッフの派遣業務を請け負っており、その中抜き率は97%とも言われている。さらに、パソナグループは今期、東京五輪、そして政府のコロナ対策事業の大量受注などにより、前期の10倍以上の純利益を上げる見込みとなっている。つまり、五輪利権に食い込み暴利を貪っているのである。
東京五輪の開催に国民の不安が募るなか、国民が納得できる説明さえも放棄しておきながら、ど真ん中の利権関係者と面談して東京五輪の開催に弾みをつける──。まさしくその腐りっぷりを象徴するような面談だと言えるだろう。