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平井卓也デジタル相のヤクザ恫喝はオリパラアプリのデタラメ発注をごまかすため! 不自然な契約、異常な金額、いまだテストできず

 平井デジタル改革相は、朝日新聞の取材に対し、「交渉するスタッフが弱腰になったら、いくら取られるかわからない。国民の血税だから強気で交渉しろ、と伝えた」などと釈明している。

 しかし、「国民の血税だから」などと言うなら、そもそもこの73億円にものぼる契約自体がおかしい。「オリパラアプリ」の委託先を決める一般競争入札は〈入札の公示から書類の提出期限までが、年末年始の休みを除くと実質4日半しかなかった〉(東京新聞4月13日付)という異常な短さで、応札したのはNECやNTTコミュニケーションなどによる共同事業者1者のみ。つまり、最初からNECやNTTコミュニケーションなどの応札を見越した入札で、その契約金額の妥当性などは考慮されず「言い値」で委託した可能性が高い。それは前述した開発済みだったシステムに「開発費2億円」を計上していたことからも明らかだ。

 NECやNTTコミュニケーションはマイナンバーカード関連事業でも地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から多くの事業を受注しており、今後、デジタル庁の発足によってJ-LISに対する国の関与が強化される。NECは過去にマイナンバー関連事業によって1000億円の売り上げを目指す方針を発表していたが、平井デジタル改革相は政府の利権構造のなかに入り込んでいるNECに対し、「甘い汁を吸わせてやっているのだから脅しをかければ言うことを聞く」とでも踏んでいたのだろう。ようするに、恫喝は国民の血税を守るためでなく、「癒着」の成れの果てでしかないのだ。

 しかも、「オリパラアプリ」が問題なのは、業者との癒着だけではない。5月21日におこなわれた衆院厚労委員会で、立憲民主党の尾辻かな子衆院議員が「仕様書を見ると(オリパラアプリを)テスト大会で使うということになっていた」と指摘。「いつ、どのテスト大会で、何人が使用したのか。そのときに不具合はあったのか」と質問をおこなったのだが、時沢忠・内閣官房内閣審議官はこう答弁した。

「これまでに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のテストイベントにおけるテスト、これはおこなっておりません」

 オリパラのテスト大会で「オリパラアプリ」を使用すると説明されてきたのに、なんとそれがおこなわれていない──。時沢審議官は「必要なテストは鋭意進めているところ」「東京五輪組織委員会の一部関係者に一部の機能についてテストしていただいた」「順次テストする機能や対象を増やしていく」などとも答弁したが、実際に選手団が使用しなければまったく意味がまったくない。

 しかも、「オリパラアプリ」のテストをおこなったという関係者の人数は、たったの「10人強」だと言うのである。

「オリパラアプリ」に73億円もの税金を投入していたことそれ自体がありえないのに、さらには正常に機能するかどうかを確認する場であったはずのテスト大会で使用せず、いまだに組織委の10人強がテストしている段階でしかないとは……。こんな体たらくで、菅首相は「安全安心の開催実現」などと言っているのである。完全に詐欺ではないか。

 平井デジタル改革相の恫喝指示発言は言語道断だが、今回の恫喝発言問題であらためて浮き彫りになったのは東京五輪が結局は癒着の温床になってきたこと、そして最大の問題は、いまだに約38億円という巨額の税金が投入されたこの「オリパラアプリ」による「安全安心」はまったく担保されていない、ということだ。これで東京五輪を開催しようという政府の無為無策も、もっと問題になるべきだろう。

最終更新:2021.06.11 11:23

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