集団下見は770人だったが、本番の五輪では、比べ物にならない人数の幼稚園児や小・中・高校生が観戦に動員されるのだ。
大会組織委員会も都も、直近の具体的な学校連携観戦の参加人数を明らかにしていないが、何度も繰り返しているように、もともとの計画では81万人が想定されていた。
そして、今回、「赤旗」は2021年3月末時点の参加予定人数を記した資料の内容を新たに報道しているのだが、それによると、国立競技場では7月30日〜8月5日の7日間に、225校3万7191人がオリンピック陸上を、8月27日〜9月5日の10日間に1267校21万7984人がパラリンピック陸上を観戦。
また、東京スタジアムでは、7月21、22日のサッカーに55校1万519人、8月6、7日の近代五種に118校2万8037人、7月26〜31日のラグビーに955校16万7521人の参加が予定されている。ようするに、今回、集団下見が明らかになった2会場だけで46万1252人が動員されるのだ。
しかも、前回の記事でも指摘したように、この学校連携観戦計画では「競技場への移動は電車やバスなど公共交通機関を使え」といった指示をする一方、具体的な感染対策は全く示されていない。
いずれにしても、このまま計画が強行されれば、子どもたちが深刻な感染危機に晒されるのは必至といっていい。
しかし、この危険な計画は、今回の集団下見実施によって、撤回どころか、保留状態にすらなく、実施に向け前のめりに進んでいることが明らかになった。
五輪が中止になるか、「無観客」が正式に決まらないかぎり、おそらく確実に強行されるだろう。いや、下手をすると、無観客になっても、学校連携観戦だけは、教育だとして強行される可能性さえある。
無謀な戦争に突入した旧日本軍そっくりに、状況を一切かえりみず「とにかく開催」に突進する菅政権、東京都、組織委、IOC。この狂気を止めるには、とにかく国民が声を上げ続けるしかない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.05.17 09:37