だが、大阪の状況はそんな悠長なことを言っているような場合ではない。政府の分科会が新たに示した指標に照らし合わせても、大阪府は陽性率を除くすべてで最悪のステージ4の状況(11日時点)にあり、緊急事態宣言の要請をすぐにおこなうべき状況にあるからだ。
また、りんくう総合医療センターの倭正也・感染症センター長も、「まん延防止等重点措置の効果を待ってからでは手遅れになる可能性が高い。緊急事態宣言の発出の要請を視野に入れてほしい」(NHKニュース4月7日付)と述べている。効果を見て判断しているような余裕などないのだ。
今回、吉村知事が「緊急事態宣言の要請」を口にしたことから、一見するとあたかも他に先駆けて対策を打とうとしているように見えるが、実態は危機的状況をただ黙ってみているだけでしかないのである。
一体このペテン師は何度同じことを繰り返す気なのか──。しかし、こうした吉村知事の騙しの手口に対しては、怒りの声も大きくなってきている。
実際、本サイトでは先週、吉村知事が『めざまし8』(フジテレビ)で、最大受け入れ可能数が30床であるはずの大阪コロナ重症センターが13床しか稼働していない問題について、「もともと3月末で閉鎖するという予定だった」「『閉めるな』という指示を出して動かしている。だからいま13床あるというのも、もともとゼロになる予定だったのを13ですから」などと強弁したことを紹介し、大阪府の「大阪コロナ重症センター」設置計画では設置期限が「2年」とされていたことを指摘したが、この記事には大きな反響が寄せられた。
いや、これはネット上だけの話ではない。これまでさんざん吉村知事を「リーダーシップがある」などと無批判に持ち上げてきたテレビでも、徐々に批判の声が上がるようになってきたからだ。
たとえば、吉村知事への批判といえば、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の玉川徹氏だけが気を吐いてきたが、本日放送の同番組では、ワイドショーに引っ張りだことなっている北村義浩・日本医科大学特任教授が「後手後手に回っているというよりもですね、甘く見ているというか」と吉村知事の対応を指摘。「5週間も6週間ものほほんとしていたとしか見えないんですよね。僕は申し訳ないのですが、吉村知事は失敗したと思っています」とはっきりと批判をおこなった。