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菅首相が山田内閣広報官を処分しない理由に「女性」を強調! 女性問題を悪用し「飲み会を断らない」不正官僚を守る態度こそ性差別だ

 まったく何を言っているのだか。本サイトでも指摘してきたように、山田内閣広報官といえば菅首相が贔屓にしてきた官僚の筆頭であり、安倍政権下の2013年から2015年まで広報担当の首相秘書官を務めた際も官房長官だった菅氏が安倍晋三首相に対して推薦したと言われ、新政権発足にともなって菅首相が官邸に呼び戻したのだ。それほどの寵愛を受けながら、その息子と会食したことを忘れるはずがない。なのに、言うに事欠いて「誰の子息かは関係ないと思っている」「私にとっては大きな事実ではない」と強調するとは──。

 しかも、会食の際にBSやCSなど放送行政にかんする話をしたのではないかと追及を受けると、山田内閣広報官は「放送業界全体の実情に関する話はあったかもしれないが、全体としては一般的な懇談だった」などとしらばっくれたのである。

 7万円もの高級接待を受けておいて「一般的な懇談」なわけがないだろう。その上、山田氏と会食では、正剛氏だけではなく東北新社の二宮清隆社長も同席。総務省の報告書では、二宮社長が会食に参加していたのは山田氏と、「次期事務次官」と目されていた総務省ナンバー2の谷脇康彦・総務審議官のときだけ。二宮社長や正剛氏らから直接的な働きかけがおこなわれていなかったとしても、相手を見れば“接待の意図”は十分に理解していたはずだ。

 このように、終始、人を食ったような答弁を貫いた山田内閣広報官だが、最大の問題は、違法接待にとどまらず贈収賄の疑いさえ濃厚な人物の続投を決定した菅首相にある。

 しかも、けっして看過できないのは、菅首相が山田氏を内閣広報官に続投させる理由として「女性」であることを持ち出したことだ。

 菅首相は昨日24日、記者団の囲み取材の際、山田氏の処遇についてこう述べた。

「やはり女性の広報官として期待しておりますので、そのまま専念してほしい。私はこういうふうに思っています」

 山田氏が問題となっているのは、総務審議官という立場でありながら明白な利害関係者から接待を受けていたことであって、男性か女性かといった性別はまったく関係ない。なのに「女性の広報官として期待しておりますので」などと女性であることをわざわざ強調し、持ち出す──。

 ようするに、森喜朗氏の性差別発言に端を発して注目が集まるようになった「女性登用の少なさ」の問題を、菅首相は「悪用」し、処分をおこなわないことの理由にしたのである。

 いま女性たちが声をあげ、是正を求めているのは、性差別的な社会構造に基づいた男女格差の解消であり、意思決定の場に女性が参加できるようになることだ。なのに、それをよりにもよって官僚の汚職問題に利用し、罷免しなかった理由として「女性として期待している」と言う。これは、まさしくいま声をあげている女性たちをも冒涜する暴言ではないか。

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