今月12日に米ファイザー社製の新型コロナワクチンの第一便が成田空港に到着、厚労省はこのワクチンを14日に正式承認した。本日17日からは医療従事者に先行して接種がスタートする。
メディアでは明るい話題として取り上げられているワクチン接種。しかし、森喜朗氏の性差別発言によってすっかりかき消されてしまったものの、ワクチンをめぐっては政府による絶句するような怠慢、手落ち対応があきらかになっている。
それは、ファイザー製ワクチンは1瓶で6回分の採取がおこなえる計算だったのに、突如、菅政権は5回分しか採取できないと言い出したからだ。
厚労省はファイザー社と「年内に1億4400万回分(7200万人分)の供給を受ける」という契約を結んでいるが、このまま5回分しか採取できないとなると、単純計算でじつに2400万回分(1200万人分)が使えずに廃棄、つまりパーになってしまうということになる。
この問題は国内メディアでも「ワクチン接種できる人“減少”?」「接種可能数 減る恐れ ファイザーワクチン 1瓶6回が5回に」などと報じられたが、海外メディアの報道はもっと厳しい。実際、英大手紙のガーディアンはこう伝えている。
「日本、注射器を間違えたため、何百万回分ものワクチンを廃棄することに」
一体なぜこんなことが起こってしまったのか。そもそも、ファイザー社は1瓶から採取可能なのは5回分としていたが、注射針とシリンジの隙間のデッドスペースに液体が残らない特殊な注射器を使えば6回分を採取できることがわかり、昨年12月にファイザー社は日本政府にもそれを伝達。政府は1月15日におこなった自治体向けの説明会でも1瓶で6回分が採取できると説明していた。
ところが、今月9日の衆院予算委員会で、公明党の大口善徳衆院議員の質問に答えるかたちで、田村憲久厚労相がこう言い出したのだ。
「12月に確認すると、どうもですね、その6回というのは、その6回取れる特殊な筒といいますか、そういうのがあるんですね、シリンジが。それを使うと6回取れるという話でございまして。いま、それをですね、各医療機器メーカーから確保すべく集めております。ただ、もちろん、普通、日本で使われているものですと、5回しか取れないわけですので、すぐに接種、全員分のですね、シリンジは確保できないということで、医療機器メーカーに増産もお願いいたしております」
「(自治体に配布した手引きでは)いままで6回と書いてあったんですけど、5回というかたちでですね、変えさせていただいて、体制を整えていただくということをお願いさせていただきたいと思います」