首相官邸HPより
昨日1日、「深夜の銀座クラブ通い」で虚偽の説明をおこなっていたことが発覚した自民党の松本純衆院議員と大塚高司・国対副委員長、田野瀬太道・文科副大臣の3議員が離党勧告処分となり、それを受けて菅義偉首相が「国民に無理をお願いするなか、政治家は襟を正さなければならない。国民におわびしたい」と陳謝した。
国民には罰則を設けて強く縛ろうとしている一方で副大臣や与党幹部が平気でルール破りをしていたのだから首相が謝るのは当然の話だが、それでも最近、菅首相は「やけに腰が低い」「素直に謝るようになった」という声があがっている。
たしかに、これまでは国会質疑でも「指摘は当たらない」「お答えを控える」という木で鼻をくくったような答弁を繰り返し、緊急事態宣言の再発令時には、国会に事前報告しなければならないのに衆参両院の議院運営委員会に出てこようともしなかった。
ところが、今回の緊急事態宣言の延長では、出席拒否してきた議院運営委員会にも菅首相は出席し、「結果として宣言を延ばすことになり、国民に大変申し訳ない」と陳謝。最近は国会答弁でも「申し訳ない」と口にするようになり、たとえば、直ちに治療を受けられないという状況にあることについて立憲民主党の辻元清美衆院議員から「『公助』で救えなかった責任を感じているか」と追及された際には「体制ができていないことは、責任者として大変申し訳なく思う」と陳謝。こうした模様は、これまでに見られなかった態度だとしてメディアでも大きく報じられた。
さらに、「変化」が感じられたのは、1月29日におこなわれた、ある「面会」だ。
その直前である26日におこなわれた衆院予算委員会では、立憲の川内博史衆院議員がひとり親家庭の子どもたちや大企業の非正規労働者で雇用調整助成金がもらえない人たちの支援について追及。「救えるのは総理しかいない」「ぜひ彼らに会っていただき、いまの状況を把握すると約束してほしい」と訴えると、菅首相は「それはさせていただきます」と明言。この答弁には議場にどよめきと拍手が起こったほどだった。
そして、菅首相は3日後の29日、17時34分から18時4分の30分間だけだが、ひとり親や非正規労働者ら6人と面会。川内議員や田村憲久厚労相、厚労省幹部も同席し、当事者からは〈休業支援の対象とならない大企業の非正規労働者を支援対象にする〉ことや〈低所得の子育て世帯に子どもの入学や進級に備えた給付金を支給すること〉が直接要望された(朝日新聞デジタル1月30日付)。こうした要望の声に対し、菅首相はこう述べたという。
「対応を検討していく」「この私が話を聞いたんだから」
ところが、これもただのポーズにすぎなかった。