会食に批判が高まっている最中だというのに、それも無視して連日の「はしご会食」……。しかも、問題は2軒目となった会食のメンバーだ。
まず、東京五輪組織委員会の高橋理事といえば、電通顧問であり、五輪招致では日本オリンピック委員会と電通、そして招致委員会から巨額を受け取り、賄賂工作を請け負ったコンサルタント・ブラックタイディングス社(IOC委員ラミン・ディアク氏の息子のパパマッサタ・ディアク氏の関連会社)をつなぐ役割を演じたと言われている。さらに、ロイター通信は今年3月、高橋理事が招致委員会から約8億9000万円相当の資金を受け取り、IOC委員らにロビー活動をおこなっていたと報じている。
そんな五輪買収問題のキーマンである人物と菅首相がこのタイミングで会食をおこなった理由はわからないが、しかし、じつは菅首相も高橋氏と同様、ディアク親子への賄賂にかかわっていたという疑いが持たれている。
既報でもお伝えしたが(詳しくは既報参照)、「週刊新潮」(新潮社)2月20日号によれば、菅首相は官房長官時代、カジノをめぐって深い関係にあるセガサミーホールディングスの里見治会長に対してこんな依頼をおこなっていたと、当の里見会長がテレビ局や広告代理店の幹部に語ったというのだ。
「アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない」と依頼。
「嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です」
そして、実際に里見会長は自身で3〜4億円、「知り合いの社長」が1億円を用意して嘉納治五郎財団に入金したといい、これに菅氏は「これでアフリカ票を持ってこられます」と喜んでいた、というのだ。
しかも、これは里見会長の“ホラ話”ではない。というのも、セガサミー広報部は嘉納治五郎財団への寄付の事実を認めており、「週刊新潮」が独自入手した嘉納治五郎財団の決算報告書でも、2012年から13年にかけて2億円も寄付金収入が増えていることを確認。関係者は「その2億円は里見会長が寄付したものでしょう」と語っているのだ。
もし、里見会長に買収のための資金提供を依頼していたのが事実ならば、菅首相は官房長官という国の中枢の要職に就きながら、五輪の招致を金で買うというとんでもない悪事に手を染めていたことになるが、今回会食をおこなった高橋理事と菅首相には、そうした五輪買収の繋がりが存在するのだ。