しかし、このほかにも菅首相はツッコミどころ満載の回答しかおこなわなかったというのに、聞き役の鈴木氏はたいした追及をすることもなく、せいぜい「僕は菅さんとずっと一対一で話してるからわかるけど、菅さんの言葉で説明していくってこともプラス必要かなって」などと馴れ合った雰囲気のなかで言うのが精一杯。しかも、10問にも満たない視聴者からの質問に答えただけで(ちなみにそのうち2問は尖閣諸島問題とTPP加盟という中国の話題に費やされた)、番組はたったの約30分で終了となったのだ。
繰り返すが、都市部ならず地方でも過去最多の新規感染者数を出す府県が続出し、重症者や死亡者の増加に国民が不安を抱くなか、菅首相は緊張感のかけらもなく、このようなヌルさ全開の番組を「国民への説明の場」に仕立て上げた。しかも、鈴木氏は番組の最後に「これ定期的にやりたいんです」などと言い出したのだが、対して菅首相はご機嫌な様子で「時期がきたらやります(笑)」と回答していた。
こんな予定調和かつ甘すぎる番組に生出演することで肝心の記者会見から逃げる口実を与えることなど断じて許されるものではないが、もっと深刻なのは、菅首相がこの国の危機的状況をまったく直視しようとせず、ヘラヘラと笑っていたことのほうだ。医療現場から悲鳴があがるいま、この国の総理大臣はだらしない笑みを浮かべているだけだという現実を、ひとりでも多くの国民が知るべきだ。
(編集部)
最終更新:2020.12.12 11:01