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菅首相がコロナ重症者最多のなか会見で「携帯料金20ギガで2980円」をアピール! GoTo反省も独自の生活支援策もなく…

 実際、幹事社の毎日新聞につづいて当てられた時事通信の記者の質問は新型コロナワクチンについて。4人目のNHK記者は脱炭素化、5人目の産経新聞記者は安全保障。「海外メディアからの質問も」として当てられた6人目のロイターの記者は経済対策の規模、7人目の日本経済新聞の記者は高齢者の医療費負担増、8人目の共同通信の記者は日米関係。「フリーランスから」として当てられた9人目の安積明子氏は菅首相の説明不足を問うたが、つづく10人目の読売新聞の記者は衆院解散について、だった。

 たとえば「強い危機感を持って対応している」と言いながら「GoTo」をゴリ押ししていることの矛盾や、医療現場の医療従事者たちから「看護師不足」「医療崩壊」という言葉が発せられるようになっている問題について、幹事社質問の後に当てられた記者が誰ひとりとして質問しない。しかも、当てられた社はものの見事に政権寄りのメディアばかりで、特筆すべき質問はフリーの安積氏だけ──。安積氏といえば菅氏が官房長官だった時代からよく質問に当てられ、かつ取るに足らない質問ばかりおこなってきた人物だが、きょうは詰めが甘いながらも菅首相の説明不足について質問したことは評価できよう。というか、ここまでの質問は、幹事社のTBS・毎日と安積氏以外、内容も訊き方もヌルすぎるものばかりだったのだ。

 しかも、ここで不思議なことが起こる。読売の質問に菅首相が答えたところでNHKは地上波での中継を打ち切ったのだが、その後、11人目の京都新聞の記者は学術会議問題をめぐってアカデミズムから反発が起こりつづけていることについて、12人目のラジオ・フランスの記者は自民党の二階俊博幹事長が全国旅行業協会の会長であることと「GoToトラベル」優遇の関係についてという、角度を変えた厳しい質問がおこなわれたのだ。

 ちなみに、京都新聞は菅首相による「パンケーキ懇談会」を欠席した数少ないメディアのうちの1社であり、さらに付け加えれば、菅首相は記者から質問を受けても手元の原稿を読むなどしていたが、安積氏と京都新聞、ラジオ・フランスの記者のときはとくに集中して質問を聞いているようにも見えた。

 これはようするに、NHKの中継が打ち切られるタイミングまでは、フリーの安積氏を除いた社の記者からどんな質問が寄せられるか、ある程度、菅官邸は把握しており、想定問答を用意していたということなのではないか。

 約3カ月ものあいだ正式な記者会見を開かずに説明責任を放棄してきたというのに、いざ会見が開かれても、この茶番劇。「パンケーキ懇談会」のときからわかっていたことではあるが、この国を危機に陥れているのは、国民の健康と安全を守ろうとしない菅首相のみならず、問題を見て見ぬふりをして菅首相の実像をあぶり出そうともしない、記者たちの姿勢なのだ。

最終更新:2020.12.04 10:31

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