菅首相のタチが悪いのは、独裁丸出しの政治をしながら、それを追及されると、反論もせずにこのようにしれっとすっとぼけてしまうことだ。
しかも、この手法は明白な事実に対しても平気で使われる。昨日の参院予算委員会では、立憲の森裕子議員が「菅首相のブレーン」と言われる竹中平蔵氏の問題を追及したのだが、その際、10月30日放送の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)で発した「正規雇用と言われるものはほとんど首を切れないんですよ」「首を切れない社員なんて雇えないですよ普通」「それで非正規をだんだんだんだん増やしていかざるを得なかった」という“暴論”を紹介し、「こういう人がこれから経済と規制改革のアドバイザーですか。総理、これどなたか、よくこういう話されているからどなたかわかるでしょう」と質問した。しかし、菅首相の答弁はこうだ。
「えーと、どなたですか。教えてください」
首相就任からわずか2日後に会食する仲だというのに、よくもまあこんな白々しいことを言えたものだが、森議員が「竹中平蔵さんです。竹中平蔵さんはいまどういう立場ですか? そして仕事は何と何と何をしてらっしゃるんですか?」と質問すると、菅首相はまたも素知らぬ顔でこんなことを口にした。
「あのー、竹中さんが具体的にどのような仕事をしてるかっちゅうのは、私は承知して……大学教授とかそうしたものをやって、評論家とか、経済評論とか、そういうことじゃないでしょうか」
言うまでもなく、竹中氏はあのパソナグループの会長であり、これまでさんざん政府の諮問会議のメンバーや民間議員を務める一方でパソナに利益誘導を図ってきたことが批判されてきたにもかかわらず、菅政権が新設した有識者会議「成長戦略会議」のメンバーに選ばれたばかりだ。だが、菅首相はまたもすっとぼけて「パソナグループ会長」であることを隠したのである。
壊れたテープレコーダーのように「既得権益ガ―」と同じ答弁を繰り返す、原稿を棒読みでただ読み上げる、そして「知らない」「どなたですか?」などと開き直り、しらばっくれる……。安倍政権での官房長官時代は、ネトウヨが「鉄壁のガースー」と呼び、まるで質疑応答に強いかのように持ち上げてきたが、一体これのどこが「鉄壁」なのか。