国民が怒っているのは、コロナ禍に見舞われているこの状況で合同葬を強行し、しかも、これまで以上の巨額の税金を拠出するということなのだ。
周知のように、コロナで多くの国民は大規模な葬儀を中止し、家族葬などに縮小している。志村けんなど人気芸能人もお別れ会などは開催できていない状況だ。そんななかで、中曽根元総理の内閣・自民党合同葬だけは税金を使って盛大に開催するというのだから、国民が怒るのは当然だろう。
しかも、問題はその中身だ。中曽根元首相の合同葬は、コロナ対策で、これまでの総理大臣経験者の合同葬でよくみられた日本武道館などでなく、東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪の宴会場で行われ、参列者を1500人に限定するのだという。参列できるのは案内状を送られた人のみ、花台や記帳所などを設ける予定もない。つまり、合同葬を強行しながら、国民は参加できないということになる。
となると、ますますおかしいのは9600万円という予算だ。今回はこれまでより会場が小さくなり、参加者が限定されるのだから、予算も減るのが普通。ところが、注ぎ込まれる税金の額は過去最高なのである。もっとも最近の総理経験者の合同葬は2007年の宮澤喜一元首相の葬儀だが、このときつけられていた予算は7696万円。今回はそれよりも実に2000万円も多いことになる。
ちなみに、葬儀の総額は自民党の拠出額も合わせ、1億9200万円。1500人だけが参列するとなると、一人当たりの経費は12万8千円。こんな葬儀、聞いたことがない。ネットでは「巨額の税金をつぎ込んで、一部の人間しか参加できないのは『桜を見る会』と全く同じ構図だ」という指摘があったが、まさにそのとおりだろう。