ただし、彼らはひとつだけ配慮を見せていた。実は「エッチしたい」とか「ヴァージン」とか性的なワードを発するパートはすべて、元おニャン子クラブの新田、渡辺が担当し、乃木坂メンバーは一切歌っていないのだ。
しかし、この配慮はもちろんフェミニズム的な意識から出たものではない。乃木坂の「清楚」なブランドイメージを守るために、直接的な性的ワードを新田と渡辺に押し付けただけだろう。
しかも、この「配慮」を受けて、ネットユーザーの間ではこんないじりが広がっていた。
〈「セーラー服を脱がさないで」の「エッチをしたいけど」のとこだけおばさんが歌ってるの死ぬほど面白い。〉
〈セーラー服を脱がさないでのちょっとエロい歌詞を全部乃木坂じゃなくておばさんが歌うの見てなんかわからんけどめっちゃ萎えてる〉
〈セーラー服を脱がさないで エロいワードはおばさん担当で草〉
〈今乃木坂とおニャン子クラブの2人がセーラー服を脱がさないでを歌ってたんだけど、「エッチをしたいけど」とかエグい歌詞の所乃木坂が歌うのかな?と思ってたら そこだけおニャン子のおばさんのソロでクソワロタ〉
〈ミュージックデイで乃木坂が歌うセーラー服を脱がさないで エロ気味の歌詞のところは確実に本家のおばさんに歌わせる&カメラに乃木坂を抜かなくて、意地でもヲタクのフリー素材を作らせない気概を感じた〉
「セーラー服を脱がさないで」の歌詞の差別性はそのままに、乃木坂のイメージだけを守ろうとして、「おばさん」を笑い者にするエイジズム的差別を助長する──“秋元康”的な女性蔑視ビジネスは、実は「セーラー服を脱がさないで」の時代よりももっと陰湿でグロテスクなものになっているのかもしれない。
(本田コッペ)
最終更新:2020.09.14 10:34