番組では、櫻井氏がいきなりアベノマスクを手にとって、菅官房長官にこう迫った。
「私、これ、あの総理がイニシアチブをとって配った、いわゆるアベノマスクといわれるもの。これ、何回も使って、ありがとうございます、本当に。使ってるんですが。なぜ、閣僚の方はアベノマスクしないんです?
私、菅さんもなさってなかったし、西村さんもしてらっしゃらない、萩生田さんもしてらっしゃらない。みんな、安倍総理を支えてらっしゃる方々が、どうしてそれしなかったんだろうと思って。」
菅官房長官はこれに、「あ…」と何かを言いかけるが、櫻井よしこが遮って、さらにこう畳み掛けた。
「それでね、なぜこういうことを言うかと言いますとね。いま中学生や高校生がですね、『アベノマスク、だーい好き』って言ってですね、こうやってね、アベノマスクにいろんな刺繍をしたりして、すごくこれをですね、大事なものとして、使ってるんです。だから、中学生や高校生までこういうふうにしてね、『よし、みんなでこのウイルスと戦おう』と言っているのに。なんで閣僚がですね、(アベノマスクをつけないのか)、顔が大きいから自分の顔には小さすぎるみたいなことを言う人もいるんですけどね。でも、これはある種のシンボルなんですよ! 安倍政権で、なんで総理だけしか、しないのか!私、ときどきね、安倍さんのお気持ちを思うと、ほんっとお気の毒になっちゃった。なぜ、なさらなかったの?」
もちろん、櫻井よしこのこのアベノマスク礼賛は狂っているとしか思えないものだった。専門家から効果を疑問視され、虫や異物まで混入していていたマスクをまるで“御真影”のようにありがたがれと迫るその姿は「戦前の特高警察」か、「カルト安倍教の教宣部長」ではないか。しかも、「中学生や高校生が『アベノマスク、だーい好き』と言ってる」って……。それ、アベノマスク前から流行しているデコマスク(シールを貼ったりペンでイラストを描いたりしてマスクを飾り付けること)用に無料でお揃いのアベノマスクを使っているだけだろう。
しかし、一方で、櫻井氏が口にした「なぜ、閣僚の方はアベノマスクしないんです?」「菅さんも西村さんも萩生田さんもしてないのはなぜ?」というのは、国民も聞いてみたい質問だったはずだ。