いったい、これはどういう変化なのか。というのも、ここ数年、日本ではネトウヨや安倍応援団だけでなく、とくに政治に興味のない人や、安倍政権に批判的な人のなかからもライトな嫌韓発言が出てくるなど、韓国ヘイトの空気が支配的になっていた。
そして安倍政権もまた、政権不祥事や悪法の強行採決などに対する批判をごまかすために、この嫌韓を利用してきた。なかでも象徴的なのが昨年の韓国に対する唐突な輸出規制で、これも参院選に合わせて嫌韓を煽り政権浮揚をはかるための差別政策そのものだった。
今回の安倍首相謝罪像問題も、安倍官邸は明らかにいつものように失政をごまかすために利用しようと、扇動を仕掛けていた。
韓国政府がまだ何のコメントも出していない時点で、菅官房長官がわざわざ会見で触れたという事実からもそのことはうかがえる(しかも、韓国政府はその後「どの国であっても外国の指導者クラスに対してそうした国際礼譲を考慮する必要がある」として像を批判している)。
普段は重要な問題について「コメントする立場にない」などと無視する菅官房長官が、それこそ本来「コメントする立場にない」はずの他国の民間人の表現活動について、「許されない」などとコメントするなんて、普通は考えられない。それこそ「韓国はひどい」「安倍さん負けるな」といった声を引き出すために、わざわざニュースを大きくしたのである。
ところが、上述のように、まったく嫌韓は盛り上がらず、逆に「安倍首相は国民に謝れ」「謝罪像を寄贈してもらって日本に設置しろ」という声が噴出する羽目になってしまったのだ。
これはもちろん、国民の意識が大きく変わったからだ。これまでは嫌韓に踊らされていたが、コロナ対策をみて、韓国よりはるかに日本の安倍政権がひどいということに気がついてしまったのである。
実際、ワイドショーなどでも最近は、嫌韓特集がまったく数字が取れなくなっているという。各番組はそれでも、北朝鮮との関係悪化、軍艦島の世界遺産登録に韓国が取り消し要求、G7参加、ビザ問題、慰安婦支援団体の不正などを取り上げていたが、視聴率が振るわず、結局、散発的に終わっている。
そういう意味では、これまで政権に怯え、忖度してきたマスコミもそろそろ意識を変えるべきではないのか。
〈国民に対して謝罪したのかと思ったら違ったわ。 国民に首相謝罪して、そして辞めて。仕事しない首相など要らない〉
これが大多数の国民の声なのだ。時代遅れの嫌韓をやってる場合ではないのである。
(編集部)
最終更新:2020.08.19 11:08