そしてこの4年の小池都政下で、小池都知事の差別思想がもっとも露わになったのが、関東大震災時の朝鮮人虐殺をめぐる問題だ。
小池氏は都知事に就任するや、その差別性を露わにする行動に出た。大震災が発生した9月1日に毎年、墨田区の都立横網町公園でおこなわれている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」では、1974年以降、歴代の都知事たちが追悼文を寄せてきたのだが、周知のように、小池都知事はこの朝鮮人犠牲者に対する追悼文を2017年、突如として取り止めてしまったのだ。
この小池都知事の動きと軌を一にするように、同年、同じ時刻に横網町公園内で、小池氏がかつて講演をおこなった排外主義団体「そよ風」が集会を開始。「朝鮮人犠牲者追悼式典」にぶつけるかたちで、「そよ風」関係者らが「朝鮮人が暴動を起こし、日本人を虐殺した」「日本人が朝鮮人を殺したのは正当防衛だった」などと典型的なヘイトデマをがなり立てるようになった。念のため強調しておくが、関東大震災直後に流布された「朝鮮人が井戸に毒をいれている」「暴動や放火をしている」なる噂は完全なデマであったことが確定しており、逆に、そうしたデマに踊らされた人々が徒党を組んで朝鮮人らを襲撃・殺害して回ったことは膨大な証言が残されている事実だ。明らかに、小池都知事の「追悼文拒否」は歴史修正主義の虐殺否定論とヘイトに勢いを与えたのである。
それだけではない。こうした小池都知事の「追悼文拒否」や「そよ風」のヘイト集会に対する都の認可に抗議の声があがると、2019年12月、東京都は逆に「朝鮮人犠牲者追悼式典」実行委員会の許可申請に対し「公園管理上支障となる行為は行わない」「拡声器は集会参加者に聞こえるための必要最小限の音量とする」などと様々な条件をつけ、これに従わなければ中止や不許可にされても「異存ありません」とする内容の「誓約書」を交わすよう要請してきたのだ。
詳しくは既報(https://lite-ra.com/2020/06/post-5472.html)を読んでいただきたいが、ヘイト団体はこの「誓約書」を悪用して、「朝鮮人犠牲者追悼式典」自体を中止に追い込もうしているとしか思えない動きをとっている。小池都知事は、実質的に朝鮮人虐殺をなかったことにしようとするヘイト団体をアシストしているのだ。
今年5月、「朝鮮人犠牲者追悼式典」実行委員会は〈こうした内容の誓約を求めることは、本来自由・自主である集会運営を萎縮させる恐れがある〉などとして、誓約書要請の撤回と従来通りの申請受理を求める声明文を発表。また6月11日には、都に朝鮮人犠牲者追悼式典への条件を撤回し、速やかな横網町公園の占有許可を求めるオンライン署名が提出された。届けられた署名数は3万筆を超えている。