小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

久米宏がTBSラジオの最終回で何も語らなかったのはなぜか? 圧力説がささやかれる中、その過激発言を振り返る

 また、その翌年の2018年8月4日の放送回では、リスナーからの東京五輪への賛否のメールやハガキを募集したところ、総数318通の意見のうち、賛成28通、反対283通だったことが報告され、こんな意見が次々読み上げられた。

「復興に人も予算もまわすべき」
「いまだに原発事故収束の目処も立っていない」
「オリンピックに使うお金があったら、学校の給食費を無料にすべき」
「スポーツの大会を開くことよりも、一人でも多くの命を救うことのほうが先決」

 どれもこれも、正論と言うしかないが、当時のマスコミでは絶対に取り上げられることのない意見だった。そして、久米はこうしたリスナーの反対意見にひとつひとつ賛同の意を示しながら、さらに踏み込んだ自分の意見を述べたのだ。

「クーベルタン男爵の意思や思いを一番曲げたのは日本でしょうね。くたばれクーベルタンとね。これだけメダルが好きな国いませんからね。ほんとに五輪とメダルが大大好き」
「だいたいロスの五輪でピーター・ユベロスというやり手がいまして、大黒字を出したんですよ。あのあたりから五輪はビジネスだ、金儲けになるっていうので。今回の東京五輪招致のときにも、実は賄賂を贈った事件があったんですけど、これみんなで揉み潰したんですよ。賄賂をもらった馬鹿な息子が、どこかでとんでもない買い物をしたんですけど。どうも日本の広告代理店から出ているらしい、とんでもない賄賂なんですけど。これあっという間に握り潰されたんですけど。
 つまり、かなりの賄賂を払って誘致してもプラスになるのが五輪だと。金のなる木になっちゃったんですね。もちろんいちばん儲かるのは広告代理店、ゼネコンのお祭りですから、ゼネコンフェスティバルといわれていますから」

 久米は、大手マスコミでは五輪タブーと電通タブーで完全に封殺されている、招致時の賄賂問題、そして、大手広告代理店やゼネコンの利権の問題にまで触れたのである。

 さらに、久米の批判の矛先は安倍首相の五輪政治利用にも向けられていた。たとえば、2017年、安倍首相が共謀罪を成立させる理由として五輪開催を持ち出した際には、こう吠えた(5月20日放送回)。

「なにそれ(笑)。ブエノスアイレスの東京誘致のときにそんな話、出ました? いまになって『共謀罪を成立させないとオリンピックが開けない』(なんて)。もっとひどいのは、『東京オリンピックまでに憲法を改正したい』っていうね(苦笑)。それはないだろ!?(中略)共謀罪も東京オリンピック、憲法改正も東京オリンピック。東京オリンピック、こんなにダシに使っていいの?」
「そりゃないだろって。そんなにオリンピックを利用するのって、ヒトラーじゃないんだからさ。オリンピックを利用しちゃいけないんですよ、本当に。オリンピック憲章に書いてあるんですから」

 そう、安倍首相の姿勢をベルリン五輪を政治利用した「ヒトラー」になぞらえたのである。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。