繰り返すが、一体、これのどこをどう解釈したら「猛烈ツッコミ」ということになるのか──。しかも、あ然とさせられたのは、このあと。橋下氏はこんなこと言い出したのだ。
「総理の実績というのは、日本がここまで国際社会で存在感を発揮できたのは総理の前の政権ではなかった」
「外交・安全保障、そういうところに集中できるような国のかたちになっていないんじゃないか」
「『仕事多すぎるわ』と思いませんか?」
「トランプ大統領やプーチン大統領や習近平国家主席が待機児童の問題なんか絶対やっていないと思うんですよ」
社会保障政策に率先して取り組む世界のリーダーは数多くいるのに、よりにもよって独裁的なリーダーばかり並べ立てた上で「待機児童の問題なんか絶対やっていない」って……。さらに橋下氏は、「(自民党幹部に)『国会改革やってくれ』と。総理の出席日数、大臣の出席日数ももうちょっと絞ってもらえないかとか、そういうことは自民党の総裁としては言えないものなんですか?」などと、維新の十八番である国会改革を訴えたのである。
このコロナ禍にあって通常国会を閉会してしまった安倍首相に対して、“安倍首相は忙しすぎ”“国会への出席日数は減らせないのか”などと言う……。もはや「猛烈ツッコミ」どころか「猛烈アシスト&ヨイショ」番組だ。
事実、番組の最後のテーマに取り上げられたのは、安倍首相の悲願である憲法改正。橋下氏は「日本の憲法つくっていくときに、本当に国民全体の会議体・議論でつくられたのかっていうところは、大いに疑問なんですよ」と話を振ると、案の定、安倍首相も「非常にかぎられた人々が議論をし、それをですね、帝国議会でそれを可決するときも泣きながら賛成票を投じた人たちがいたといった状況があったことも事実」などとお得意の“GHQの押し付け憲法”論を展開。その上、「(新型コロナの)こういうときだからこそ、果たして緊急事態のあり方はどうするかということも含めて議論してもらいたかった」と言ったかと思えば、橋下氏は「憲法審査会を多数決で進めていくことはできないのか」などと畳み掛けたのだ。