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河井夫妻逮捕でも安倍首相会見は追及なし! 唯一の質問は幹事社フジの「1億5000万円は買収に使われてないということでいいか」

 いったいこのフジテレビ記者の質問はなんなのか。

「『責任』と言うがそれは具体的にどういう責任なのか」という質問は、まあ当然のものだ。だが、そのあと「1億5000万円は買収資金に使われたことはないということでいいのか」って、どうして“使われていない”という前提の質問なのか。

 しかも、このフジの記者はつづけて、東京五輪の実施についてやワクチンの問題、さらには「今秋に衆院解散に踏み切るという噂があるが総選挙の実施は可能と考えるか」など、河井夫妻逮捕の話題だけではなくいくつも質問を投げかけたのだ。こんな質問では、話題が分散されて掘り下げた回答など得られないのは目に見えている。

 実際、安倍首相はこのフジによるアシストとしか思えない質問に対し、会見冒頭に述べた台詞をそのまま繰り返した上で、こう述べた。

「選挙は民主主義の基本でありますから、そこに疑いの目が注がれることはあってはならないと考えております。自民党総裁として、自民党において、より一層、襟を正し、そして国民に対する説明責任も果たしていかなければならないと考えております。ま、それ以上につきましては、捜査中の個別の事件にかんすることでありまして、詳細なコメントは控えたいと思いますが、自民党の政治資金につきましては、昨日、二階幹事長より『党本部では公認会計士が厳格な基準に照らして事後的に各支部の支出をチェックしているところであり、巷間言われているような使途に使うことができないことは当然であります』という説明をおこなわれたと、こういうふうに承知しております」

「説明責任を果たす」と言ったそばから「詳細なコメントは控える」と言い出すという笑えないコントを繰り広げたあとは、二階俊博幹事長のコメントを繰り返すだけ。しかも、安倍首相はこれだけ語ると、「そして東京オリンピック・パラリンピックについてでありますが……」と、案の定、東京五輪の質問の応答に移ってしまったのである。

 この、安倍首相がもっともらしく語った二階幹事長のコメントの引用だが、二階幹事長はこのとき「合計1億5000万円は支部の立ち上げに伴う党勢拡大のための広報誌を配布した費用に充てられたと報告を受けている」と語っていた。だが、これには自民党内からも「そんなもので1億5000万円もかからない」というツッコミが噴出しているような眉唾モノの説明だ。ようするに、二階幹事長の説明になっていない説明を安倍首相は持ち出したのである。

 しかし、当然ながら、これからの質問でどこかの記者がこの点を突っ込んで、河井夫妻の逮捕問題について掘り下げるだろう──。そう考えていたのだが、結論から言うと、このあと、河井夫妻の逮捕について質問はまったく出なかったのである。

 フジの記者のあと、幹事社のもう1社である産経新聞の記者が質問に立ったが、その内容は「憲法改正」。無論、安倍首相は水を得た魚のように、「(憲法改正に)反対なのか賛成なのか、どういう考えを持っているのか、それをまさに国民のみなさんは私は見たいんだろうと、聞きたいんだろうと思います」などと野党批判を織り交ぜて長々と“演説”した。

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