K-POPアーティストのなかでも随一の人気を誇るBTSに対しても、SNSアカウントを通じて、差別問題に対して意思表示をするよう多くのファンが求めていた。
そうしたファンの声に後押しされるように、BTSは6月4日、公式アカウントで「#Black Lives Matter」というハッシュタグとともに韓国語と英語でメッセージを発信する。
〈私たちは人種差別に反対します。
私たちは暴力を非難します。
あなたも私も私たちすべての人間は、人として尊重される権利があります。私たちはみなさんとともにいます。〉(翻訳・編集部)
さらにBTSと所属事務所Big Hit Entertainmentは、「Black Lives Matter Global Network Foundation」に100万ドル(約1億円)の寄付をした。
すると、今度はBTSのファンたちが、「Match A Million」と銘打ってファンたちでBTSと同額を寄付しようというキャンペーンをツイッターで呼びかけ、なんと24時間以内に100万ドル以上集めたのである。BTSのファンでつくられたコミュニティ「One In An ARMY」は、全米黒人地位向上協会(NAACP)の法律事務所などアフリカ系コミュニティへの支援を表明している。
いかがだろうか。この意識の高さ、行動力には驚嘆するばかりだ。
こうした一連のムーブメントを目の当たりにして、あらためて認識させられたことがある。それは、BTSそしてK-POPが世界的な存在になっているだけでなく、多様性の象徴となっているということだろう。
周知のとおり、BTSは『LOVE YOURSELF 轉‘Tear’』(2018年5月)以来、今年2月にリリースした『MAP OF THE SOUL: 7』まで通算4作のアルバムがアメリカのビルボード総合アルバムチャート1位を獲得。東アジアのグループが総合チャートでこのような成績を残すのはもちろん初めての快挙だったが、くわえてすごいのは、これらのアルバムが韓国語で歌われていたということだ。さらに英・ウェンブリー・スタジアムでの公演を成功させるなど、ヨーロッパ各国でもライブを成功させチャートを席巻している。
また、2017年以来ユニセフの「#ENDviolence(暴力をなくそう)」キャンペーンに協力しており、2018年には、世界の若者の就学、技能訓練、雇用の確保を目指すためのパートナーシップ「Generation Unlimited」の発足イベントに出席。ニューヨークの国連本部でスピーチをおこない、「自分自身を語ろう」というメッセージをおくったこともある。
ビルボード総合1位を4作連続で獲得していることからもわかるように、その人気はアジア系に限ったものではなく、アフリカ系やヒスパニックにもファンが多い。また、白人でも「ゴス」などいわゆる既存のアメリカ社会のメインストリームとは違うタイプからも支持されている。BTSは、オルタナティブあるいは多様性の象徴のような存在でもあるのだ。