安倍政権がマスコミ対策・批判封じにばかり熱心なのは重々承知だが、本来コロナ対策に奔走すべきこの時期にまで、直接会っているのかリモートなのか知らないが、「レク」に精を出しているとは。
さらに、経産省による「レク」は「Go To」にかぎった話ではないらしい。批判殺到の「アベノマスク」や効果がまだはっきりとしていないアビガンについても、経産省は必死に説明に回っているという話もある。
国民からの批判を受け止めるのではなく、影響力のあるコメンテーターを懐柔し抱き込むことで批判を抑え込もうとする──。ようするに、この新型コロナ感染拡大の最中、政府は世論形成に必死になっているのである。
しかも、政府が言いなりになりそうなコメンテーターや学者、メディア幹部を抱え込もうとする一方、安倍官邸は安倍政権に批判的なテレビ番組の監視に力を注いでいるという問題があきらかになっている。
「週刊ポスト」(小学館)が2号にわたって報じ、すでに大きな関心が寄せられているが、内閣官房の内閣広報室がこのコロナ禍にテレビのニュース番組からワイドショー、情報バラエティまでチェックし、出演者のコメントをつぶさに文書で記録。東京都内の会社員男性がおこなった開示請求によると、開示された文書は2月1日から3月9日までのもので、なんと922枚にも及んだのだ。そしてそこでは、政府のTwitterで名指し批判された『モーニングショー』はもちろん、安倍政権の対策に対して批判もはっきり口にしてきた岡田晴恵・白鴎大学教授が出演した『アッコにおまかせ!』(TBS)までもが監視対象となっていた。
ようするに、内閣官房は新型コロナにかんして、公金を使ってどの専門家・コメンテーターがどんな発言をおこなったかを監視し、誤報やあら探しをおこなっていたのである。さらに、専門家会議の議事録さえ作成していない安倍政権が今回この記録文書を922枚も開示したのも、「しっかり監視している」ということを明らかにすることで番組や出演者にプレッシャーを与えるためだろう。
政府の新型コロナ対策は市民の生活を左右する死活問題であり、それを真正面から検証・批判するのはメディアの責務だ。しかし、それを妨害するかのような安倍政権によるコメンテーターの懐柔と批判的報道に対する圧力──。世論形成にばかりかまけるこの政権に、果たして感染拡大の食い止めや必要な対策を取ることなどできるだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.06.05 12:49