また、日本青年会議所(JC)が2018年に「宇予くん」なるキャラクターアカウントでネトウヨ暴言を連発し問題になったことがあったが、今年1月末、Twitter JapanはそのJCと「情報・メディアリテラシー確立のためパートナーシップ」を締結し、大きな波紋を広げた(その後、パートナーシップを解除)。ちなみに、「宇予くん」は中国と韓国について〈日本はこのバカ二国と国交断絶、もしくはミサイル攻撃したほうがいいど〉と差別や戦争を煽る投稿などを繰り返していたうえ、JCの「日本青年会議所メディアリテラシー確立委員会」のアカウントも高須院長の投稿などをリツイートしている。他にも、2017年には同社の上級役員が『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社)などのヘイト本で知られるケント・ギルバート氏らのツイートに「いいね!」をしていたことが一部で取り沙汰されたこともある。
そうした経緯から、Twitter Japanについてはもともと「極右やヘイトに甘い」という声があるなど“政治的偏向”が指摘されてきたわけだ。そして、こうした見方に拍車を掛けているのが、Twitter Japanの代表取締役である笹本裕氏の存在だ。
笹本氏といえば、2017年4月に自民党本部の勉強会に呼ばれ、「Twitterの現在と政治での活用」なる講演をおこなっていたという事実も明らかになっているが、「右派との親和性」を物語るのはこれだけではない。
実は、笹本氏はあの“ネトウヨ製造メディア”と呼ばれる産経新聞のウェブ展開を押し進めた、いわば“生みの親”とも言えるからだ。
周知のように、産経新聞は大手メディアのなかでもっとも早くニュース配信の無料化を行っており、その本格的始動は2007年10月、日本マイクロソフトが運営するポータルサイトと提携した「MSN産経ニュース」に遡る。これにより、産経はネット上での影響力を強め、極右傾向や差別主義者であるネトウヨたちを大量に生産することに成功。これは、あの池上彰氏も「いまは他紙も公開するようになりましたが、産経の流通量は多いから、基本若者たちが得るニュースは産経新聞のものです。紙では産経新聞は部数が少なく影響力は極めて低いけれど、ネットでは圧倒的なのです」(「世界」2014年12月号/岩波書店)と指摘しているとおりだ。
そして、この「MSN産経ニュース」のスタートに尽力したのが、当時、マイクロソフト執行役オンラインサービス事業部事業部長だった笹本氏なのである。そのことは、笹本氏自身がメディアのインタビューで証言している(CNET Japan「垣間見えてきた新聞社のネット戦略−MSN産経ニュースの場合」2007年10月4日)。