電通HPより
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を769億円で国と契約した一般社団法人サービスデザイン推進協議会がじつは電通の“トンネル法人”だった問題で、新たな事実が次々とわかってきた。
2日におこなわれた野党合同ヒアリングに政府が出してきた資料によると、サービスデザイン推進協議会は業務の管理・運営を749億円で電通に再委託、そこから電通は電通の子会社である4社に広告制作などを、給付金支給業務などはやはり子会社の電通ライブに外注。さらに電通ライブがパソナやトランスコスモス、大日本印刷などに業務を発注していることが判明。また、749億円のうち広報に50億円もあてられていることもわかった。
しかも、サービスデザイン推進協議会は、辞任を発表した代表理事の笠原英一・アジア太平洋マーケティング研究所所長や、「経産省に太いパイプがある」といわれる元電通職員のA氏のほかは、理事6人が電通ライブやパソナ、トランスコスモス、大日本印刷などに所属しており、常勤の理事が1人もいないことも発覚。そんな団体と、769億円もの巨額の契約をおこなっていたのである。
その上、ここにきて、点と点をつなぐ具体的な人脈が判明。本日夕、明日発売の「週刊文春」(文藝春秋)の先出し記事が公開されたが(外部リンク→https://bunshun.jp/articles/-/38190)、そこでは経産省とサービスデザイン推進協議会をつなぐ「キーパーソン」として、中小企業庁のトップである前田泰宏長官が名指しされているのだ。
サービスデザイン推進協議会は今回の「持続化給付金」を含め、設立以来4年で14件もの事業を経産省から委託されてきたが、この記事によると〈そのうち少なくとも1300億円以上、率にして8割以上が、前田氏が幹部を務める部署からの受注だった〉という。しかも、前田長官とA氏は「一緒に食事に行く」関係だったと電通関係者が証言しているのである。
経産省・中小企業庁と電通の“癒着”の中心人物として浮上してきた前田長官とA氏の関係──。じつは、この記事がネット上で公開される数時間前、衆院経済産業委員会の場でも、前田長官は“怪しい”答弁をおこなっていたのだ。
そもそも、今回の「持続化給付金」給付事業の入札調書によると、入札に参加したのはサービスデザイン推進協議会とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社の2社。そして入札調書では、資本金等の財務状況などでランク付けした等級として、サービスデザイン推進協議会が「C」だと評価されている一方、デロイトトーマツは「A」と評価されていた。しかし、落札したのはサービスデザイン推進協議会であり、詳しくは後述するがデロイトトーマツがいくらで入札したのかは黒塗りにされて公表されていない。
最高ランクの「等級A」であるデロイトトーマツを、どうして「等級C」のサービスデザイン推進協議会が押しのけることができたのか──。しかも、「持続化給付金」を含む緊急経済対策が閣議決定されたのは4月7日の18時ごろで、翌8日に競争入札が公示されたというのに、きょうの衆院経産委員会で確認されたところによると、サービスデザイン推進協議会が「持続化給付金」事務事業の委託にかんする業務執行理事を元電通社員A氏と決定したのは、入札公示の前日である4月7日の午後だという。