このように、国民の声を一切無視しつづけた安倍首相。しかも、この無責任ぶりの裏で、さらに姑息なことをやろうとしていた。
検察庁法改正案を含む国家公務員法等改正案が衆院内閣委員会で審議入りしたのは先週8日のことだが、検察庁法の改正には定年延長を法の解釈変更で決めた森まさこ法相の出席は必須であり、立憲民主党や国民民主党、共産党などは法務委員会との連合審査を求めた。経緯を考えてもあまりにも当然の要求だが、これを与党は蹴り、自民党の松本文明・衆院内閣委員長の職権で委員会開催を決定・強行。野党側は反発し、審議に出席したのは自民・公明の与党と、日本維新の会の議員だけだった。
こうして強権を使って委員会審議での“森法相隠し”に成功した安倍自民党。ところが、本日おこなわれた予算委員会では、隠したはずの森法相を、安倍自民党は出席させようとしていた、というのだ。
今朝、立憲民主党の大串博志衆院議員は、このようなツイートをおこなった。
〈今日衆議院予算委員会(NHK中継)にて、枝野代表が本件を安倍総理に質します(9:50〜)。ところが政府与党は、ここでは呼んでもいない森法相を答弁に立たせてくれ、と。法案審議では森法相を隠すくせに、「安倍隠し」のためには森法相を盾に使うのか?とんでもない!〉
本日の衆参予算委員会でおこなわれた集中審議は「緊急事態宣言の延長について」がテーマであり、出席大臣のなかには森法相は含まれていなかった。だが、Twitterでの国民の声の高まりを受けて野党側が検察庁法改正案について取り上げるとわかると、今度は森法相を出席させようとした、というわけだ。
結局、森法相が出席することはなかったが、ようするにこれは、Twitterで検察庁法改正案に抗議する声が大きくなっていることについて安倍首相が答弁するのを嫌がり、自分の代わりに森法相に答弁させようとしたのだろう。新型コロナ対応でも安倍首相は、PCR検査の少なさや生活支援策の問題点を追及されると、「総理にお答えいただきたい」と指名されても加藤勝信厚労相や西村康稔コロナ担当相に答弁させ、会見でも何かあると専門家会議の副座長で諮問委員会会長である尾身茂氏に答えさせている始末だが、きょうも同じように森法相を身代わりにさせようとしていたというわけだ。
どこまでも保身しか考えず、日本ではいままでなかった規模で抗議の声があがっているというのに、それと向き合おうとせず逃げようとする安倍首相──。しかも、ここまで国民が怒っているのに、法案撤回をする気は微塵もないらしい。実際、安倍自民党の森山裕・国会対策委員長は本日、「今の国会でやることが大事で、今週中に参議院に送付したい」などと言い、今週中の採決・衆院通過を目指すことを明言したのだ。
新型コロナ対応も後手後手なのに、まさかここで押し通そうとは……。ようするに、安倍首相は国民を軽視し、これだけの声があがっても一向に気にもとめていないのだ。
ならば、もっと怒ろう。もっと声をあげよう。そうでなければ、国民はこの男からずっと、こうした扱いを受けつづけることになるのである。
(編集部)
最終更新:2020.05.11 10:04