専門家委会議の見解を掲載した厚労省HP
24日に伝えられた女優・岡江久美子の訃報に、PCR検査体制のせいではないか、という声が上がっている。
所属事務所によると、岡江は今月3日に発熱したものの、医師から「4〜5日様子を見るように」と言われ自宅で療養していたが、発熱から3日後の6日朝に容体が急変。緊急入院し集中治療室で人工呼吸器を装着するなどの治療がおこなわれ、その後、PCR検査で感染を確認。入院後2週間後に死去した。
つまり、厚労省が2月17日に示した「37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」(高齢者や妊婦、基礎疾患のある人については2日)という政府の「相談・受診の目安」に縛られて、検査ができなかった結果、手遅れになったのではないかというのだ。
舛添要一・元東京都知事はツイッターで〈発熱してすぐにPCR検査をしていたら手遅れにならなかったのにと思うと残念だ。医療崩壊などの間違った理由をつけてPCR検査をサボってきた政府の責任は重い〉と指摘していたが、これは正論だろう。
実際、「4日待て」というルールによって重症化したり、死亡するケースは、ほかにも多数発生している。「4日以上」経っても検査が受けられず、発熱から9日後に自宅で倒れているところを発見され、重症に陥ったケースも起きている。
ところが、こんな状況にもかかわらず、この「4日以上」ルールはいまだに生きている。22日に専門家会議が記者会見を開き、新たな目安を公表したが、「肺炎が疑われるような強いだるさや息苦しさ、高熱等がある場合や、高齢者、基礎疾患のある人」にかんしては「4日を待たず、場合によってはすぐにでも相談」と変更されたが、一方、重症化リスクのない「一般の人」の場合は「37.5度以上の発熱が4日以上継続」した場合にしかセンターに相談できないままだ。
しかも、この「4日以上」という目安にかんして、政府の専門家委員会メンバーの口からは耳を疑うような発言が飛び出した。記者から“2月に出された「受診の目安」とどう違うのか”と質問が出た際、釜萢敏・日本医師会常任理事がこんなことを言い出したのだ。
「2月のときに目安が出ましてですね、『受診の目安』に対しては、とくにいまいつもと体調が違うということに対して、『4日間経過を見てください』というようなメッセージというふうに取られたんですが、それはあの、そうではなくてですね、体調が少し悪いからといってすぐみなさん医療機関を受診されるわけではないので、少しいつもと違うという症状が続いた場合には、少なくとも4日も続くというのであれば、普段はあまり受診をされなくても、今回にかんしてはぜひ相談していただきたい、まず電話で相談をして、そしてその相談の結果、受診が必要になれば医療機関を受診していただきたいと、そういうことでありました」
「は?」と目がテンになった人も多いはずだ。なにせ、いままでさんざん「37.5度以上が4日以上」と喧伝され、「いま相談センターに電話をしても受診も検査もしてもらえない」と諦め、高熱でも不安に怯えながら連絡を控えてきた人は山ほどいるはずだ。それを、当の政府の専門家会議メンバーが「『4日経過を見て』なんて言っていない、『普段は受診しない人も風邪症状や熱が4日も続くなら相談して』という意味だ」と主張しはじめるとは……。
無論、この釜萢氏の発言は波紋を呼んでおり、昨日24日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、玉川徹氏がこのように指摘していた。
「専門家会議のメンバーからですね、“『4日間様子見ろ』なんてことは言っていない”なんてことが出てきているんですね。ずっと我々、『4日間様子見る』というふうな話を番組でも伝えてきたんですけども、『いや、そういうふうに4日間経過を見てくださいというメッセージにとられたんだけど、そうじゃなくて』って、いまになってそういう話が出てきているんですよ。一体これ、ちょっとどういうことなのかなと。ここも検証しなきゃいけない部分だなと私は思っています」
また、タレントの麻木久仁子も24日にツイッターで、〈怒りしかない。もし本当にそうならば、何故今の今まで黙っていたのか。『違う運用』が行われていたのは誰の目にも明らかだ〉〈志村けんさんがなくなったのは3月29日。一生懸命頑張ってます、は免罪符にならないからね。『専門家』という存在に対する信頼性が毀損されかねない言いようです〉と批判した。