佐々木はじめ公式ウェブサイトより
新型コロナの感染拡大にともなって、国民に自己責任を押し付ける安倍政権の姿勢が次々明らかになっているが、そんななか、政府の役職を務める自民党議員がとんでもないツイートをしていたことがわかった。
4月4日、国土交通大臣政務官を務める佐々木紀衆院議員が「外出自粛でも「買い物・旅行」、60代が最も活発」というニュースをリツイートしたうえ、こうツイートしたのだ。
〈国は自粛要請しています。感染拡大を国のせいにしないでくださいね〉
佐々木議員は、2012年の衆院選で引退した森喜朗元首相の後継として石川2区から出馬して当選、現在は細田派に所属する典型的な安倍チルドレン、しかも魔の3回生だ。その思想はもちろん、ゴリゴリの極右で、日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会、靖国神社に参拝する国会議員の会、さらには例の百田尚樹を招いて言論弾圧を語り合った文化芸術懇話会にも参加している。
しかし、それにしても、今回のツイート、ひどすぎないか。新型コロナ感染拡大で国民に不安が広がっているなか、これでは「国は自粛要請したんだから、あとは知らない、お前らの責任だ」と言っているようなものではないか。
当然、このツイートは大炎上。佐々木政務官はきょう5日朝になって削除し、こうツイートし直した。
〈国は自粛要請しています。感染拡大を国だけの責任にしないでくださいね。でも、自粛を求めるなら補償とセットでないといけません。しっかり取り組みます!〉
そして、すぐ後にこんな釈明をしている。
〈朝から、お騒がせいたしました。政府発表と強制力の弱さから、各個人の注意喚起の意味と行動を促す為の投稿でしたが不適切でした。
4月7日には経済対策を出します。単発ではなく、必要に応じて対策を出していきますので、ご意見いただければと思います。〉
しかし、これ、炎上したから取り繕っているだけで、佐々木政務官の本音は完全に最初のツイートのほうであり、“コロナは国民の自己責任“というものだろう。というのも、佐々木政務官が感染者の責任をもちだしたのは今回のツイートがはじめてではないからだ。それどころか、3月30日には、コロナウイルスの感染者を犯罪者扱いするようなツイートも行なっている。
佐々木政務官はこの日、ヨーロッパ旅行に行っていた京産大生の感染が石川県で確認されたというニュースをリツイートして、〈卒業旅行みたいだけど、卒業後はどこに入社するのかな…その会社の対応が気になります。〉と投稿。
その数十分あとにも、富山県で京産大生の感染が確認されたというニュースをリツイートして、今度は〈3月にスペイン旅行って… また卒業旅行みたいだけど、卒業後は、どこに入社する予定だったのかな⁈〉とつぶやいたのだ。
これ、明らかに「こんな時期にヨーロッパに行くような学生を、企業はそのまま入社させるのか」という脅しだろう。
ヨーロッパ旅行で感染した京産大生は、ネットでもネトウヨなどからひどいバッシング浴びせられているが、彼らが旅行に出かけた時点では、ヨーロッパの感染者は日本より少なく、誰もこんな事態になるとは予想していなかった。どういう条件下で感染したとしても感染者が糾弾されるというのはおかしいが、京産大生がヨーロッパ旅行に出かけたことについては、もっと批判されるいわれがない。しかも、富山県で感染が確認された京産大生については、ゼミの卒業祝賀会に参加していたというだけで、スペイン旅行に行ってたいたかどうか自体、報道されていない。
ところが、佐々木政務官は感染の発端となった京産大生がヨーロッパ旅行をしていたことを徹底的にあげつらい、就職先の問題まで持ち出して、脅しあげているのだ。これではほとんどネトウヨとかわりがないではないか。
いや、ネトウヨより悪質だ。というのも、ヨーロッパなどからの帰国者から感染が広がっている背景には、政府の検疫体制のザル状態が背景にあるからだ。空港の検疫所は厚生労働省の管轄だが、佐々木議員が政務官を務める国交省も協力体制をしくべき関係にある。それこそ、帰国者任せになっている隔離のための滞在施設や交通手段の確保など、国交省の役割だろう。それなのに政府の責任は頰かぶりして、若い大学生に責任を押しつけているのだから、卑劣というしかない。
だが、この卑劣さは佐々木政務官だけのものではない。安倍政権のコロナ対応全体にいえることだ。検査体制も治療体制も整えず、感染の実態を隠し、感染拡大が明らかになったら今度は「自覚のない若者」や「夜の繁華街」のせいにする。一方では、この期に及んでも、国民全員に必要なものを届ける即応的な生活支援も全く打ち出そうとしない。
それは結局、いまの自民党や安倍政権が佐々木政務官のような思想の持ち主の集合体だからである。そして、その頂点にいて、極右自己責任論者をどんどん公認候補に立ててきたのが安倍首相なのだ。
「感染拡大を国のせいにしないでくださいね」と口に出していないだけで、安倍首相も考えていることはきっと同じである。
(編集部)
最終更新:2020.04.05 03:29