韓国でも、ドイツでも、アメリカでも、医師の診察や判断があった上で、ドライブスルー検査が行われているのだ。
厚労省が〈「ドライブスルー方式」では、医師の診察を伴わないことが多い〉というのは、いったいどこの話なのだろうか。
ドライブスルー方式を導入している国は、他にもオーストラリア、イギリス、デンマーク、ベルギーなどどんどん増えており、国や地域によっては、もしかしたら一部そういうところもあるのかもしれないが、先行している韓国を手本にしているところが多いことを考えれば、「医師の診察を伴わないことが多い」というのは、ほぼデマと言っていいだろう。
百歩譲ってもし仮に「医師の診察を伴わないことが多い」のが事実だとしてそれが問題だというのなら、日本で導入する際に、医師の診察を伴う方式にブラッシュアップすればいいだけの話だ。
それを日曜日に出勤してまで、わざわざ否定にかかる……。厚労省のこの不可解な反応はおそらく、日本のワイドショーの動きと関係している。
このドライブスルー検査は、韓国で感染が拡大していた時期から日本のテレビでも盛んに取り上げられていた。しかし、ほとんどの番組が、(実際には医療崩壊など起きていないにもかかわらず)まるで韓国の、“杜撰医療”“感染拡大の温床”のようにバカにし、“医療崩壊”の象徴として嘲笑。ワイドショー定番の嫌韓ネタとして消費していた。
ところが先週くらいから、欧米での感染拡大を受け、ドイツやアメリカなど欧米各国でも導入し始めたことがわかると、ワイドショーも一転、手のひら返しで、「よい方法」「日本も真似したほうがいい」などという意見が出始めていた。
ドライブスルー検査導入論が国内でも高まりつつあったことから、わざわざドライブスルー検査を否定するツイートをかましてきたということだろう。
それにしても、日本で無資格の業者が勝手にドライブスルー検査をやっていて危険だから止めなければいけないという話ならまだわかるが、他国がやっているというだけの検査方法を、厚労省をあげてわざわざ否定するというのが、まったくもって意味不明だ。だったら、一向に改善されない検査体制や医療体制の整備、人々の不安に答える情報発信など、厚労省が先にやるべき仕事はいくらでもあるだろう。なぜ厚労省アカウントは、5ツイートも費やして、デマまでまじえてまで、わざわざドライブスルー検査を否定したのか。
ひとつは、やはり検査拡大論を封じ込めたいという意図だろう。
少し前まではワイドショーでも検査拡大を求める声が強かったが、先週くらいからテレビでも検査不要論がどんどん支配的になっている。政府各機関が名指しで「検査するべき」報道を攻撃し、裏でメディアに「ブリーフィング」という名の圧力をかけた結果だった。
ところが、せっかく抑え込んだにもかかわらず、ここにきてドライブスルー検査が評価され始めたことで、またぞろ、検査するべき論が再燃する恐れが出てきた。そこで、先手を打ったということではないか。
欧米での感染拡大に伴い、世界各国で検査拡大しているというのに、ここまで検査抑制に固執するのはハッキリ言って異常というしかない。