しかし、官僚がこうした本末転倒な動きをしているのは、すべて「官邸の指示」があるためだ。
そのことは本サイトが『モーニングショー』への一斉攻撃があった直後から指摘しているし、毎日新聞も3月7日朝刊で「新型コロナ 政府、ワイドショーに何度も反論 官邸幹部が指示」と打っている。同紙によると、首相官邸幹部が「事実と異なる報道には反論するよう指示した」と明かしたという。
「指示した首相官邸幹部は、“影の総理”の異名を持つ今井尚哉首相補佐官ではないかと言われている。これまでのパターンだと、メディアに圧力をかけるのは菅義偉官房長官の役目だが、最近、菅官房長官は安倍首相から外され気味で、コロナ対応はほとんど今井補佐官が仕切っている。ところが、その対応策がことごとく裏目に出ているため、今度は必死になって批判を潰そうとしはじめたということだろう」(全国紙政治部デスク)
いずれにせよ、状況から考えて、首相官邸から各省庁に「反論しろ」と指令がいっていたのは明らかであり、これは紛れもなく、安倍政権が自分たちの失態を隠すための批判封じ込め、言論弾圧に動いていたのは間違いない。
しかも、安倍政権はこの『モーニングショー』への一斉攻撃が批判を浴びたあとも、一向に反省する姿勢を見せず、開き直り続けてきた。菅官房長官は記者会見で「事実関係の誤りを指摘するなど政府から必要な発信をすることが自由な論評を阻害することになるとは考えられない」と強弁し、安倍首相も昨日9日の国会で「そもそも私はほとんどテレビを見ている時間はございませんから」などととぼけたうえ、「事実関係を間違って伝えられることによって、不安を呼び起こすこともありうる。政府はしっかりと正しい情報を発信していくのは当然の役割ではないか」などと、圧力を正当化した。
一時は相当に追い詰められていた安倍政権だが、内閣支持率が予想ほど落ち込んでいないことに、安倍首相は自信を取り戻していると聞く。中身のない“やってる感”演出とともに、このメディアへの言論弾圧もこれからさらにエスカレートしていく可能性が高い。
(編集部)
最終更新:2020.03.10 11:09