しかも、 “感染者を増やさないために検査をしない”という政府の倒錯的な隠蔽は「ダイヤモンド・プリンセス」号に限った話ではないのかもしれない。
本サイトは、以前から「中国人、中国渡航者を止める水際作戦は意味がない」「それよりもすでに国内感染が進んでいることを前提に、検査や治療体制を整えるべきだ」と指摘し、PCR検査の対象拡大や民間検査キットを導入し一般病院でも検査できる体制を整えるべきだとしてきた。
だが、いまもそうした動きはほとんどない。安倍首相は「18日から1日3000人の検査が可能」などと述べていたが、そんな検査体制はまったく実現されていない。
それは厚労省がHPの「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」で公表している検査件数を見れば明らかだ。2月17日以降の検査実施の累積人数(チャーター便帰国者とクルーズ船乗客・乗員をのぞく)を見ると、2/17=487人 2/18=523人 2/19= 532人 2/20 =603人 2/21=693人。
ようするに、検査はいまだほとんどおこなわれていないし、一向に増えてもいないのだ。
対照的なのが韓国だ。この数日、韓国の感染者が急増し、ネトウヨたちが「韓国が日本を抜いて2位に躍り出た!」などと大はしゃぎしているが、実は韓国の感染者数が増加したのは、検査数の増加を反映したものだ。
韓国のCDC(疾病管理本部)が発表している検査実施数によると、2/19・16時=11173件 2/20・09時=12161件 2/20・16時=13202件2/21・09時=14816件 2/21・16時=16400件 2/22・09時=19621件。2/23・16時の発表では、2万件を超えている。
ようするに、韓国は少なくとも日本の20倍の検査を実施しているのだ。
さらに、この日韓の検査件数の差はもうひとつ恐ろしい事実を物語っている。日本の感染者は23日現在、安倍政権の言うようにクルーズ船とチャーター機をのぞくと115人と、韓国より少ないが、韓国と同じくらい検査をしたら、感染者数が何倍、場合によっては何十倍にも増える可能性があるということだ。
にもかかわらず、なぜ、日本は検査件数が増えないのか。検査の必要性が周知されておらず、患者や民間の医師が検査に消極的なわけではない。むしろまったく逆で、メディアやSNSでは、「検査を受けたいのに検査してもらえない」という声があふれている。
たとえば、池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は「いまは多数の方を検査できていない」「酸素をつけなくてはいけない重症肺炎でも検査ができないという話だった」と『news23』や『羽鳥慎一モーニングショー』などで明かしていた。