こうした遅々とした政府対応については、国会でも野党が早い段階から批判してきたことだ。安倍応援団やネトウヨたちは、野党が国会で新型コロナウイルス対策についての質問をしているのを見なかったことにして、「桜を見る会」問題などの追及をあげつらい「いま、そんなことしてる場合か」とバッシングしているが、いったい、何をほざいているのだろう。
むしろ、国民から「いま、そんなことしてる場合か」と言われなければならないのは、安倍首相のほうだ。
実際、あらためてこの間の安倍首相の行動を振り返ると、本来ならば新型コロナウイルス対策に全力をあげなければならないこのタイミングで、あろうことか、支援者や身内の子飼い議員、メディア関係者らと会食を繰り返していた。
たとえば、2月13日には国内初の感染者の死亡と、中国と接点のない国内感染者が新たに発表され、さらに「ダイヤモンド・プリンセス号」で新たに44人の感染者が確認されたが、この日、安倍首相は午後6時台に対策本部での会合(約15分間)などをさっさと済ますと、午後7時には東京・丸の内のパレスホテル東京で行われた精神科医らでつくる安倍首相の後援会「晋精会」の会合で挨拶。首相動静によれば、安倍首相は対策会議より長い約30分間もホテルに滞在した。
さらに安倍首相は、その足で平河町の中国料理店「赤坂四川飯店」へ向かい、7時40分からは細田博之元幹事長、麻生副総理兼財務相とともに細田派・麻生派の衆院当選3回生議員らとの懇親会に出席している。この自民党若手議員らは政権奪還選挙の2012年初当選組であり、いわゆる「魔の3回生」と呼ばれる安倍チルドレンだ。しかも、この“安倍チル懇親会”に1時間弱参加した安倍首相は、ようやく官邸に戻って感染症対策の指揮をとるのかと思いきや、そのまま富ヶ谷の私邸に帰宅してしまった。
14日も相当なものだ。新たに東京や北海道、沖縄など全国で日本人8人の感染が確認された14日の首相動静によれば、午後5時26分から同34分まで官邸での対策本部に出席。使った時間はわずか8分間だが、安倍首相はやはり、対策本部の会合が終わるとすぐに官邸を出て、午後6時40分ごろから内幸町の帝国ホテル内の宴会場「桃の間」で日本経済新聞社の喜多恒雄会長、岡田直敏社長らと会食。この宴は午後9時半ごろまで、じつに3時間弱も行われた。安倍首相はやっぱり、そのまま公邸で事態に備えるでもなく、富ヶ谷の私邸に帰っている。
そして、昨日15日。午前中は来客もなく自宅におり、午後13時半をすぎてようやく官邸へ行ったと思いきや、15時すぎにはそそくさと官邸を後にして帰宅。その後1、とくに来客もなく、安倍首相は私邸でくつろいでいたと思われる。きょう16日も、午前10時現在、富ヶ谷の私邸でくつろいでおり、14時時点でその後の新しい動きの情報はない。